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No.211 会社の情報データを活かすにはどうするか

■ 会社の仕事における情報データ活用の現状

「探す、確認する」
「データ入力する」「計算する」「転記する」
「情報・データをまとめる」
「評価/判断する」
「仕事の状況を把握する」(進捗・期限)

これらは、日常業務の中で、よくある作業です。

管理システムなど仕組みが充実している会社では
「最適な方法が具現化」され、業務・作業は効率化しています。

しかし、その一方でシステム化が充分にされていない会社では、
業務・作業のほとんどをマンパワーに頼ることが多いのが現実です。

システム化がある程度、進んでいる会社であっても、
本当の意味で「情報データを上手く活用できている会社」は、それほど多くはありません。

■ その実態はどうなのか?

では、実態としてはどういう状況なのか?
コンサルタントとして、様々な会社をみてきた経験から問題点をまとめてみました。


● 情報データの活用範囲が狭い

財務や業務管理の基幹システムはあるが、規定の範囲のみデータ化・活用しているだけ。
実際は、システム範囲外・管理外の仕事は無数にあり、その情報管理は、担当者個々のやり方・技量に委ねられている。
例)「作業A」をやるとき、「資料・基準B」を確認・判断し、「結果C」としてまとめる(記録する)など
情報データの活用範囲は狭く、限定的になっている状況。


● 特定の個人だけが情報データを持っている=共有されていない

様々な管理がされ、多くの情報・データは存在するが、それら個別情報・データは収集・連結・活用されている訳では無い。
特定の個人しか認識できておらず、実質は情報・データが眠っている状態。


● 会社全体・職場でデータ収集・活用する発想が無い

・業務効率を上げるという目的・目標が明確に定められておらず、実際のアクションにはつながっていない。
・よく考えれば、データ収集・活用の意義や必要性はあるのだが、それに気づくのは問題発生の機会に遭遇した場合のみ。


■ 情報データを活用していくには

下記に、情報データを上手く使えている状態を示しました。

これらを機能させる大事なポイントは、

(1) 情報データ管理の実態をつかむこと
(2) 情報データ活用の目的と活用範囲を再定義すること
(3) 情報データ活用方法を検討・具体化すること

です。

情報は会社の資産であり、情報管理・活用を上手くやることで、改善や効率化の土台も強くなります。

「情報データを活用すること=会社を強くすること」

です。


▶ 情報データ活用サポート

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No.210 企業規模とあるべき姿

コンサルとして20年ほど活動し、様々な業種・業態の会社の仕事をしました。
規模では、主には中小企業ですが、大企業・中堅企業も合わせて、現在までに100社以上の会社を見てきています。その経験則から、会社の傾向的な特徴は捉えることができていると思います。
業種・業態の違いはもちろんですが、企業規模でも会社の様子はだいぶ異なります。

一般的な認識では、


大企業・中堅企業は
● 人材の質・量ともに揃っている
● 業務がシステム化・効率化されている
● 仕事のほとんどが形式化されており、誰でも一定の成果が出せる
● 様々な改善・効率化を進めるための予算をかけられる


中小企業は
● 人材の質・量で劣る
● 業務のシステム化・効率化が遅れている
● 仕事の多くが暗黙知で、個人頼み・マンパワーに委ねることが多い
● 改善・効率化はしたいが予算が十分ではない


だと思います。

確率的には”一般的な認識”であることが多いですが、
中小企業でも優秀な人材が揃っていたり、システム化が上手くできている会社もあります。
大企業・中堅企業でも、人材層にバラツキがあり、業務の多くに問題を抱えている会社もあります。

コンサル経験から結論づけていることがあります。
それは、会社における “あるべき姿” の考え方が、その姿に現れる ということです。

”会社において、何を大事にしていて、どんな価値提供を持って、どんな成果を目指すのか”

その考え方で会社の様子は大きく変わります。
顧客からの見られ方も変わります。
業績の捉え方・つくり方も変わります。
社員の働き方も変わります。
プロセスが変われば、最終的な成果も変わります。

企業規模の大小の差があれば、そもそもの影響力・効率性の違いがあり、最終的な結果にも違いがでるのは間違いありません。
ただ、大企業・中堅企業も最初は中小企業だったはずです。
規模拡大・成長発展できたのは、 ”どんな会社になりたいか” が明確にあったためであり、企業規模はその結果 だと考えています。


現在はコロナ渦です。世の中が大きく変わり、経営環境も激変の状況です。

コロナが契機となり、これまでに各企業が積み上げてきたモノが崩れ去り、
”会社の在り方そのものがリセットされたような状態” だと捉えています。
大規模・中堅規模であった企業も、サイズダウンを余儀なくされる可能性もあります。

今後の会社の生存のためには、真の価値、業績のつくり方、組織・人材 など、あらためて 会社の在り方を一から考えていく必要がある と考えています。

今一度、原点に立ち返り、会社の あるべき姿 を定めていくことをお勧めします。


▶ あるべき姿の再考

▶ 株式会社シーアークス HP

【番外編】 コロナと株と経済

※今回は、少額投資家の独り言であり、現状の記録です。

昨今の日本経済の規模拡大は、株式市場の成長に支えられてきました。

最近では、iDeCo・NISAなど個人年金商品の取扱増加に見られるように、個人の投資機会も増え、株式市場はより活況となっていました。
年明けの2020年1月の日経平均株価は、2万4千円台でした。2020年は東京五輪が予定されていたため、年始時点では、2万6千円付近まで伸びるかな、淡い期待がありました。

しかしながら、、、コロナ感染拡大が状況を一変させました。
2月中旬、日経平均株価が1万6千円台まで急落しました。
景気の先行き不透明感が一気に増し、株式市場が過剰に反応したためです。
その急落のレベルが凄まじかったため、自身の保有する銘柄でも損失ダメージを喰らいました。下落スピードが早過ぎて、対処が遅れたためです。
そのときの気持ちを思い出すと、、、
「落ちるー!! 助けてー」です。

今回の株価急落時、ノーダメージで回避できた人っているのだろうか、まあ、いるとは思いますが。

その後ゆるやかに回復?したものの、4/21に原油先物が史上初・マイナス価格に転じた影響で、4/22には再度1万9千円を割り込みました。今回はどこまで落ちるのだろうか?


ちなみに、リーマンショックのときはどうだったかというと、
〔日経225〕
2007年2月 18,300円 → 2008年10月 6,994円(最安値)
※下落率▲62%
と、1年半で半分以下に下落していきました。下落率は凄まじいレベルです。
ただリーマン時は、2007年時点でサブプライムローンの焦げ付きリスクは捉えられ、その先の市場悪化も予測されていました。投資面では、早期に売りで、最小限のダメージで対処できた人は意外に多かったのでは、と思います。

リーマンショック直後の企業はどうだったかというと、メーカーの業績低下が顕著となり、通常稼働の50%以下がほとんどで悲惨な状況となりました。
一般消費の場面では、ゆるやかに景気悪化を感じたくらいであまり実感値は無かったのでは、と思います。


今回のコロナショックでは、その経緯と世間の反応がまったく異なります。
1月初めから、中国人観光客の減少が始まり、下旬にはまったくいなくなっていました。
2月中旬、株価が下落傾向に入った頃から、世間のザワザワのレベルが増してきた感じです。
現在では、外出自粛、施設運営休止、飲食業・サービス業の営業自粛などを目の当たりにし、一般の人でも景気悪化と先行き不透明感を強く感じています。
リーマン時は、企業業績は下降したものの経済や購買活動は動いていました。
ただ今回のコロナショックでは、企業業績の低下と合わせて、経済や購買活動に抑制が掛かっています。

しかしながら、日経平均株価で比較すると、リーマンショック時ほど下落していません。これからは分かりませんが、、、
その理由は、現在ではリーマン時と比較にならない位、株式の総数・総額が増えており、株価変動の影響が多方面に渡り、大きく出てしまうことが予測されるため「政府や日銀の資金投入で買い支え=補填している」からです。現在の日銀の投入額は1日当り1000億超だとか。
大企業では「いつのまにか日銀が大株主」なんてことが起こっています。ただ資金投入にも限界があります。これから企業救済策、雇用維持策など新たな予算を立て実行していかなければなりません。そことのバランスが保てなくなると、一気に限界を迎えます。
そうなったときにどうなるか、誰にも予測できません。というか、恐ろし過ぎて予測したくない、が本音です。

コロナ対策への政府方針が明らかになり、実行段階へと移る過程で「株価下落はとりあえずは収まった」という状況にはあります。
ただ、感染拡大の抑え込みが遅れるようなら、また株価は下落方向へ進む可能性はあり、予断は許されない状況です。

コロナ、早く終息してくれ!
※もう独り言レベルではないですね。。。

参考)
中国・日本の感染拡大は、2月時点で世界的にクローズアップされました。その後は、他国に急速に感染拡大しています。
現時点(4/22)の感染者数は、日本・1万人超、アメリカ・80万人超、他国でも数万~20万人レベルで、すべての国で増加傾向にあります。
感染者数の増加スピードで見ると、日本は他国よりも抑えててまだマシな方、と言えるか。。。減少傾向に入らないと意味は無いが。

〔参考データ/日本〕
□ インフルエンザ(2019年)
感染者数 約1000万人
死亡者数 3000人(死亡率0.03%)
□ 新型コロナウイルス(4/22現在)
感染者数 11,350人
死亡者数 277人(死亡率2.44%)
感染者数では例年のインフルエンザと比べると、かなり少ないですが、、、
死亡率では、、、ヤバいですね。。。

No.209 生産性向上のはなし

コロナの影響はまだまだ収まりませんが、その事は一旦置いておきます。

今回は、生産性向上のはなしです。

■ 生産性とは

生産性 とは〔投入(エネルギー・人・材料・設備稼働)〕に対し〔産出(製品・付加価値)〕の効率がどうなのか、を表します。
例えば一つの製品をつくる際に、通常なら3人投入するところを、1人減らして2人投入とし、同じ時間で完成できたなら、それは「生産性が高い」ということになります。また、投入コストが少ないため、利益が増えます。

計算式では、
生産性=産出(アウトプット)/ 投入(インプット)
で示されます。

「生産性が上がる」ということは、「利益・付加価値を生む力が高くなる」ということです。

すべての仕事単位で生産性向上・業務効率化が進めば、次に各企業が狙うのは「少人化」です。
少人化が進めば「一人当り限界利益額」が増加します。
またそれと同時に「固定費総額の削減」が進んでいるはずです。
※ただここは「雇用の維持」の問題と合わせて考える必要があります。

以上の事が、同時に実現できたとき、会社全体の「生産性向上ができた」と言え「利益の増加」につながります。

しかしながら、各企業では、生産性向上が思うように進んでいないという現状があります。
そこには、2つの問題があると考えています。

■ 問題1 IT投資に関わる考え方の問題

〇 日本の生産性向上の現状

先進国において、日本は「生産性低下・一人当り賃金低下」という現況にあります。

〔1人当りGDP〕 単位:USドル
※GDP 国内総生産

1995年
2018年
増減率
日本
43,441
3位
39,304
26位
90.5%
アメリカ
28,671
10位
62,869
9位
219.2%
ドイツ
31,830
6位
47,662
16位
149.7%

〔1人当り賃金〕 単位:USドル

1997年
2015年
増減率
日本
36,249
11位
35,780
17位
98.7%
アメリカ
46,415
3位
58,714
2位
126.5%
ドイツ
39,446
9位
44,925
11位
113.9%

このデータからみると、アメリカ・ドイツと比較し、日本は「生産性向上が停滞、賃金に反映できていない」ということになります。
また先進国における日本の順位が「下降傾向にある」のも気になるところです。

更に、企業の労働分配率の平均データをみていきます。
労働分配率は、限界利益における人件費の割合を示す指標です。
この比率が高ければ「人に委ねる仕事の割合が高い」ということです。
逆に低ければ「人に委ねる仕事の割合が低い = 効率化できている」と言えます。
※ 労働分配率=人件費/限界利益

〔労働分配率〕

2005年
2016年
日本
48.0%
48.4%
アメリカ
53.7%
52.7%
ドイツ
49.4%
50.0%

これをみると、日本は「生産性が低下 × 賃金低下 × 労働分配率上昇」となっており、生産性改善が遅れていると言えます。
それに対して、アメリカは「生産性が大きく上昇 × 労働分配率低下、結果として一人当り賃金額が上昇」しています。注目すべきは、生産性向上と賃金上昇がバランスよく実現できているところです。

〇 他国に見る生産性向上のポイントは何なのか

世界の各企業の経営者に対して行ったアンケートにおいて、興味深いデータがあります。出展/第20回世界CEO意識調査日本分析版

「現在の経営環境を前提に新たな機会を活用するために最も強化したい項目を選んでください」との問いに対して、
「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」を挙げた割合は、
世界のCEOで15%だったの対して、日本のCEOは4%にとどまりました。

「今後12カ月の自社の売上高の成長の見通しについてどれだけの自信を持っていますか」との問いに対して、
「自信がある」と答えたのは、全体平均38%、英41%、米39%、中国35%に対して、日本14%でした。

また、「研究開発費のうちIT分野に投資している割合は何%か」との問いに対しては、
米独は「10%~19%」が最も多かったのに対して、日本は「0~4%」が最も多く、日本企業のIT分野への研究開発投資は低調である、ということがわかります。

その具体的なポイントとして、
(1)IT分野の商品・サービス開発投資・研究開発投資の遅れ
(2)IT分野の人材育成投資の遅れ

が挙げられます。
本来なら、IT投資が上手く進めば「少人化→生産性向上」ができるはずですが、そこへのアクションが不足しているということです。

これらからわかることは、
日本企業の経営者は「技術革新のスピードの早さに強い脅威を感じているにもかかわらず、デジタルおよびテクノロジーに関する能力を強化しようとしていない」という現実です。不確実な将来や急激な技術変革を目の前にして、自社を成長に導く自信がなく、立ちすくんでいる様子がうかがえます。

以上から、日本とアメリカなどと比べて「生産性向上+賃金上昇」がはかれなかった要因として「IT分野への投資の遅れ」が大きく影響しているものと推察できます。

〇 IT投資の目的の捉え方

IT分野への投資が少ないことだけでなく、情報化投資の内容が「コスト削減・人員削減」を指向する「守りの投資」が主流であることも、日本で賃金が上がらない理由です。

日本の情報化投資の特徴は、業務プロセスの効率化を目指したものが全体の半分を占めており、「ビジネスモデルの開発・売り上げ増」を指向する「攻めの投資」は少ないのが現状です。

情報化投資による労働生産性の上昇効果を見れば、新しい製品・サービスの開発や既存の製品・サービスの高付加価化を目指した場合は4倍に上がるのに対して、省力化投資による労働生産性の上昇は1.1倍にとどまります。
「コスト削減・人員削減」から生み出される利益は微々たるものでしかなく、利益率が1%でも改善すればいい方でしょう。

その「投資対リターン」の低さが、「情報化投資はもうからない」という思い込みを経営者にもたらし、ますます経営者は情報化投資に悪いイメージを持つようになるという悪循環、負のスパイラルに陥っています。
こうした「守りの投資」は、働き手のやる気などにも悪影響を及ぼし、結局、生産性が上がらず、そして賃金が上がらない悪循環を作り出しています。
「1人の仕事がより増えて忙しいが、それに反して賃金は増えず、社員の不満は大きくなっている」というのが実態です。

■ 問題2 経営者と社員の関わり方の問題

会社にとって大事なのは、利益の確保です。
ただ、会社の利益確保の考え方を社員に説明するだけで、生産性向上は進むのでしょうか?

答えはNOです。

働く人たちにとって大事なことは、
①働く場所があること
②仕事があること

です。

実は「会社における生産性向上活動」とは「働く人たちの仕事を奪うこと」につながる可能性があります。
会社が強力に生産性向上活動を進めれば、そこに働く人たちの仕事は減少していきます。

ここに、生産性向上が進まないジレンマがあります。

「我が社は生産性向上するぞ」と経営者が声高に叫ぼうとも、社員は納得して、素直に活動には移せません。
何故なら「自らの活動により、自分の仕事が無くなるかもしれない」からです。

活動開始にあたり、経営者が「生産性向上により利益を確保していくことは、皆さんのためでもあります。自分たちの給料は自分たちで確保していきましょう。」と言ったとします。

経営的にはもっともな話なのですが、聞いている社員側は釈然としない感情にとらわれます。
「会社に利益が上がらなければ、給料は上げられないぞ」
という経営者の本音が透けて見えているからです。
これでは、ある意味で脅迫と同じです。

社員側の本音をとらえると
「賃金がそのままなのに、なぜ頑張らなければいけないんだ」
「会社の利益を確保するのは経営者の仕事。自分たちは仕事を頑張るだけ。頑張った結果として、より高い給料がほしい」です。

ここで考えなければいけないことは「単なる生産性向上」という方向づけでは「真の生産性向上」は実現できないということです。

会社側が成果を追うならば、社員側にもその活動により享受できるメリットを提示していかなければ、真の活動は進みません。
社員個々が頑張る理由づけにつながるよう、活動成果のメリットを提示しておくということが大事です。

■ 先々の生産性向上の方向性を考える

これからも労働人口の減少は進み、既存の業務への配置はほぼ不可能となっていきます。

しかしながら「業務はそのままで生産性は上げたい」「頑張って(マンパワーで)生産性を上げていきたい」というのには限界があります。

「先々の会社の業務の姿をどういう形にするか」
「生産性向上の最終到達点をどうするか」

という目的・方向性と到達点を考えていくことで答えが出てきます。

その先に、真の生産性向上・競争力確保の実現が果たせることでしょう。

株式会社シーアークス HP

No.208 コロナ不況とその後の展望①

世はコロナ不況の真っ只中です。まだまだ先は見えません。

特効薬ができるのがいつなのか、
それが終息へ向かう唯一のポイントであることは周知のところです。

このような未知の脅威に遭遇したとき、
なかなかよい答えは見つかりませんが、
「歴史に学び対応していく」というのも一つの選択肢だと考えます。

過去の歴史でも、天然痘・ペストなど、疫病・感染症の流行があり、その拡大が元で一国が滅ぶという最悪なケースもあったようです。
ただ、どんな疫病・感染症であっても、時間経過により、いずれは沈静化・終息します。
そして、その後には「世の中の常識・価値観や前提の変化 → 大きな変革」が起こります。その「変革」は世の中が継続するために、必然的に起こる事です。

■ ビジネスモデルの憂鬱

ビジネスモデルという言葉があります。
ビジネスモデルは、独自の戦略や経営システム構築など、経営でやることの重点を絞り、経営効率を高め、付加価値向上に貢献していきます。
ビジネスモデルの確立ができている企業は「業績を安定的・継続的に上げていくことができる」とされてきました。

しかしながら、、、現在はコロナ不況の影響で市場は大きく変貌しています。需要と供給の急減・消費減速が凄まじいレベルで起こっています。
ここまで広範囲かつ急激な変化が起これば、ビジネスモデルの前提条件も大きく変わり、業績急降下・対応不可に陥ります。
「既存のビジネスモデルは、ほぼ通用しなくなる」ということです。

■ それでも先を見る ~変化へ対応~

ここからは、先を考えていく会社向けの話です。

どの企業においても、危機に直面したときは「その危機を回避すること」が当面の最重点課題です。すべての企業は、今まさにそういう状況で、しばらくはそれが続きます。
ただ、いずれ危機回避できるときは必ずやってきます。
その後の変化に備え、想定とシナリオづくり、実現するための前提条件の確保・準備 はいまからでもやっておくべきです。
※「やっぱり、それどころではない」という会社は「現在のことに集中して対応、危機を乗り越える」でよいです。

コロナ終息後の変化の展望を推測すると、その後の市場も大きく変貌していくことが見込まれます。
これまでの常識や成功条件はほぼ通じず、それに変わる「新しい考え方や定義」が生まれていくことでしょう。

変化のキーワードは、
通信・非対面・非接触・効率・少人化・リスク対応 だと考えています。

これを、企業の取組みのポイントに落とし込むと、
例えば、、、


1.既存先・狙い先の定義の見直しと対応
①ベース売上高の対象と定義の見直し
②重点先のシフト
需要変動に左右されない企業の定義と開拓
(外需型企業→内需型企業、一般需要→政策需要)
③売上構成の変更・シフト
→よりリスクヘッジできるような構成に変える


2.組織・人材体制の大胆な変更
長年の社内課題も同時に解決するレベルで実施
→基本方向は「すべての業務の少人化+省人化」
→変化に強い組織にする


3.業務システムの効率化 ※究極レベル
①すべてのムダ・ムラ・ムリの排除→業務効率の向上
②情報集約・管理の仕組みの見直し・改善
※3は、上記2を実現するための前提条件でもある


というのが、現段階で言えることです。
※この部分はあくまで現段階の想定レベルの話です。
今後、必要に応じて追加・修正していきます。

既に大企業・中堅企業の内、混迷が終息したその先を見据え、様々な角度から対応策を検討している先もあるのでは、と推測します。
その検討ポイントは「現状維持で危機を乗り越える」ではなく「その先も見据えて変革する」だと考えます。

中小企業でも「資金力・対応力の面で不利」という実情はありますが、可能な範囲では対応準備はしていくべきと考えます。

コロナに負けるな! です。

株式会社シーアークス HP

No.207 これからのリーダーの要件と任命

世の中は、コロナ一色ですね。(2020.3.25 現在)
状況の厳しさは続き、現時点で、私にはこの先は見えていません。
とコンサルタントが言うのもどうか、とは思いますが、、、
正直なところ、提案できる有効な策がまだ思い浮かんでいません。

「コロナショックに耐えて、必ず生き残る」
すべての会社が考えていることです。

本件については、有効なアイデア・対策がまとまりましたら、あらためて発信します。


さて、話は大きく変わりますが、
今回のブログはリーダーの話です。

■ 私が真のリーダーだと思う人たち

おそらく、求めるリーダー像は人によってだいぶ異なるとは思いますが、
私がリーダーの手本だと考えている(尊敬している)人は以下です。


〇 藤沢武夫(本田宗一郎を支えた名経営者)
「モノ作りは本田、カネの工面は藤沢」と言われ、陰からホンダの経営危機を救ったこともある。
この人無くしては、現在のホンダは存在していない。
本田宗一郎と同時に経営から退き、当時は「最高の引き際」「爽やか引退」と言われた。


〇 柳井正(ユニクロ現会長)
広島の小さな洋品店の二代目から始め、第二創業で現在のユニクロをつくった。
高度経済成長期ではなく、競争が激しい経営環境下の中で、一代でユニクロの経営システムを築き上げたのはすごい。
いまだに経営の実権を握っているのは、賛否があるとは思われる(後継者問題)


〇 中曽根康弘(日米親和を進めた総理大臣)
アメリカのパートナーとして日本を対等な立場に引き上げ、日米の真の親和を進めた。
当時の米大統領ロナルドレーガンとは「ロン・ヤス」の愛称で呼び合うほどの関係を築いた。
この人の在任時の期間、日本人は自信と自負を持って仕事をしていたと記憶している。
個人的には、歴代総理大臣で最高の人物だと思っている。


〇 フランツ・ベッケンバウアー(サッカー/元ドイツ代表主将)
「リベロ」というポジションを確立し「皇帝」の異名を持つ。ドイツ歴代最高選手の一人。
ドイツを欧州選手権制覇・W杯制覇へ導いた。引退後はサッカー界の要職を歴任。
※詳しくはコチラ 「サッカー選手名鑑②フランツ・ベッケンバウアー」


政治・ビジネス・スポーツと多岐に渡りますが、
「自分が考えるリーダーの本質」では同じモノを持つ人たちだと思っています。

 

■ リーダーとは何なのか

一般論では「リーダーとは人を導く人」です。
会社の研修のときには「リーダーとは、目標達成のために人を導く人」と説明しています。
職場レベルでは「率先して仕事をする人、もしくは、仕事の可否・判断によりスタッフに仕事をさせる人」です。
リーダーの存在有無で、仕事の進み方は大きく変わります。

私の考える真のリーダーとは
「厳しい難局を打開し、新たな道を創る人」です。
それができる人が会社や組織の道筋を良きモノに変えていくと考えています。

※参考)管理職(マネージャー)は「目標達成のために、ヒト・モノ・カネ・情報を活用し、成果を上げる人」です。

■ リーダーに求められる3つの要件

リーダーには「3つの要件」が求められると考えています。
それが、あるか、無いか、でリーダーのモノゴトへのアプローチとパフォーマンスは大きく異なります。


〇リーダーシップ
リーダーシップがあるか、無いか、これはよく問われることです。
上の説明でいくと、リーダーシップとは「目標達成のために人を導くこと」を指します。
「率先して行動し、人を統率すること」が求めれらます。


〇フォロワーシップ
他者に仕事を任せて、すべて上手くいく。
これならばまったく問題無いのですが、なかなかその通りにはいきません。
仕事を完了させるには、必ずリーダーのフォロー・サポートが必要になります。
フォロワーシップは「仕事を任せた人が完了できるよう、リーダーが適切なフォローを行う」ことです。


〇パートナーシップ
現在の仕事は複雑・多岐に渡り、様々な部署が関連して成立しています。
各部署の役割・責任の範囲も明確にされ、部署単位の業務効率も上がっています。
ただその一方で、個々へ役割責任を求め過ぎるあまり、
「自身の役割・責任の範囲までしか仕事をやらない」「部署間の連携レベルが低下する」
という弊害が目立つようになりました。その弊害には「成果主義・個人主義」が大きく影響していると考えています。
パートナーシップは「人の関係性・親和性をつくり、仕事を円滑に進めること」です。
これからも「人のつながりで仕事をする」ということが非常に大事です。
リーダーにもその考え方は必須であり、パートナーシップはあらためて磨き直さければいけないことです。


■ これからのリーダーに求められること

「リーダーシップの重要性」は、どの会社でも教えていることです。
リーダーシップは「組織を統制しリードするという考え方」が主です。
しかし、その考え方・一辺倒では、これからのリーダーはやっていけません。
会社の内外の環境は大きく変わっています。
働き方改革では、残業規制・待遇の是正など、経営に大きなインパクトを与えています。人のマネジメント上で制約が増えています。
更に、管理職・監督職の世代交代(ベビーブーム世代から後進世代)が控えており、業務の継承をより早く進めていくことになります。
会社側が、これまでの型通りのリーダーの任命のやり方では、
会社のマネジメント機能が滞ったり、なりよりも要件不足で任命されたリーダー本人が困ることになるでしょう。
これからは、上記3つの要件で示したとおり、
「フォロワーシップ」「パートナーシップ」の重要度がより増していくと考えています。

■ リーダーの任命が会社の未来への道筋を決める

〇 要件を満たしている人をキチンと選び、リーダーに任命する
〇 要件不足なら、事前準備と教育で補う

2者択一での選択が求められます。

会社に求める人材すべてが揃っていることはあり得ません。
採用・教育・評価で求める人材に変えていく
それが人を活かすための経営努力の真髄です。

上記の措置を計画的に進めることができる会社は、今後も永続できると考えています。

株式会社シーアークス HP
リーダー育成プログラム

No.206 会社における『知の継承』

■ 知の継承とは

会社において「知の継承」は大きなテーマです。
ここでいう「知」とは、

(1)会社の文化・習慣(良いモノ)
(2)会社の価値をつくる固有の知識・情報・ノウハウ
(3)会社を運営するための固有の方法

を指します。その「知」を次の世代に上手く継承していくことで、会社は永続発展していくことができます。

■ 知識・ノウハウの伝達(継承)における問題点

 これまでは、一つの会社に長く勤め上司や先輩の背中を見て仕事の仕方を学ぶということが一般的でした。1社で勤めあげるという前提があるからこそ、長期的な期間で知識や経験を共有するという方法が成立していました。

 ただ、人材の流動化・多様化が進み、経営スピードが速くなった現代において、このような従来型の企業文化や知識の共有方法に限界が来ています。
情報の伝達やコミュニケーションは、“小さな規模の組織・同一メンバー間のまま”なら、比較的・容易に進みます。
しかしながら、組織規模の拡大や人事異動・世代交代など組織上の変化があると、コミュニケーションの齟齬(そご)や業務上の障害が発生しやすくなります。
「人から人へ伝えられ(=継承され)、企業内に蓄積されるべき価値ある情報」が、表に出てこなくなるケースが増えてきています。
それに加え、競合関係の複雑化、扱う製品・サービスの増加、顧客・販売ルートの多様化などにより、企業で扱う情報の質・量・スピードは変化(増加)しています。対応力がある会社は生き残り、そうでない会社は淘汰されます。

「いかに情報を集め、スムーズに仕事を進め、成果を出すか」 は企業にとって大きな課題ですが、それに反して 「情報を活かすための 組織の基盤(組織力・人材力・仕組み)が低下している」 というのが現実です。

■「知の継承」が進まない その根本原因 ~伝える側の思い込みと現場の真実~

「知の継承」が進まない根本原因を考えると、そこには「伝える側の誤解(思い込み)」「現場の真実(本当の問題点=障害)」があります。

(1)経験を積めば知の継承が出来る(だろう)
誰でも教えれば習得できる(だろう)

〔現場の真実〕
① 類似経験がないと内容を理解するのに時間がかかる
② 正しく伝わったかどうか、判断が難しい

(2)熟練者(伝承者)は、積極的に知の継承を支援・協力してくれる(だろう)
〔現場の真実〕
① 省人化・業務効率化の影響で、熟練者に若手を育成する時間が確保できない
(情報も蓄積されていない)
② 熟練者は暗黙知を言語化し、適切に教える方法を知らない

(3)若手(継承者)は、意欲的に知見・ノウハウを吸収する(自分のためなら、、、やるだろう)
〔現場の真実〕
① 当人は「何が本当に必要なのか」が、実は分かっていない。
② 当人は「教えられて当然」という感覚で受身の姿勢が多い。

(4)仕組み(データベース、業務マニュアル)を作れば、後はうまくいく(だろう)
〔現場の真実〕
① 仕組みを作っただけでは情報蓄積も不十分で利活用もうまく進まない。
② 継承に必要な情報は個人毎に異なる

(5)職場は、知の継承の取り組みを理解し、サポートしてくれる(だろう)
〔現場の真実〕
① 継承より、職場の業務遂行を優先させる (上司が最大の阻害要因になってしまう)
② 能力主義による保身が働き、十分な指導が実施されない(知の継承が停滞する)

■ ナレッジマネジメントを進める

ナレッジマネジメント とは、
「企業や従業員個人が蓄積してきた経験や知識・情報を明らかにし、企業全体で共有・可視化(見える化)することで、企業の力を高めていく経営手法」 のことを指します。

単なる情報管理とは異なり、効果的に知識・情報を収集することで、それを「会社の価値情報(ナレッジ)」と再定義し、知恵(新たなノウハウ)に変えていくことが目的です。

ナレッジマネジメントでは、以下を進めていきます。


(1)自社にとって価値を生む、必要とされる知識・情報を再定義する

(2)その知識・情報を可視化(見える化)する

(3)知識・情報を蓄積する仕組みをつくる

(4)知的情報として活用する

(5)それらすべてをマネジネントし、組織力を向上させる


「価値を生む知識・情報」を再定義・蓄積し、従業員がスムーズに活用できるようにすることで、企業の競争力を高める効果が期待できます。

■ ナレッジマネジメントの成果物


(1)業務の内容に応じて「知識を形式化することのメリット」を明確にする

(2)「手順」と「判断基準」にわけて業務内容を分析し、当人も意識していない重要な行動や姿勢を発見する

(3)特定の個人が持つ知識を形にすることで、「属人化の防止」と「知識・情報の継承」につなげる

(4)形式化した知識をもとに業務マニュアルを作成し「新たな知識・ノウハウの創出」を狙い、データベースなどで更新を行う


これからも勝ち残るため、会社における「知の継承」は生命線であり、会社の価値を高めていくための最重要キーワードです。

株式会社シーアークス HP
ナレッジマネジメント研修

No.205 労働力減少と業務改革

■ 日本の人口と労働力の現状 

世の中は、少子高齢化・労働人口減少の真っ只中です。

2015年調査時点の日本の総人口は 1億2,709万人、労働人口は 6,440万人(総人口の 50.6%)です。
※ 直近2019年の総人口 1億2,470万人(2018年比 43万人減)
10年連続で人口減少中。今後も続く。

2040年予測では、総人口 1億1,374万人、労働人口 5,245万人(総人口の 46.1%)、2015年の労働人口から1,195万人(18.5%減)も減少する見通しです。
2015年と2040年を比較すると「総人口減少数(1,335万人減) ≒ 労働人口減少数(1,195万人減)」であることから「労働力のみ消失する」ということが言えます。

総人口は、2048年には1億人を下回る予測です。
(2048年 総人口予測 9,931万人)

そうなった段階の労働事情を予想すると、
「必要な場所・仕事に必要な人を配置する」ことは、ほぼできなくなっていると思われます。
現在においても、働き手の不足、採用難で苦しむ会社が多くなっていますが、実数を見れば、それも当然の流れであることが分かります。なかなか厳しいですね。。。

■ 会社の業務の問題 

ここで、会社の仕事に目を向けていきます。

企業では「全社の固定費の内、管理部門・管理業務のウェイトをいかに下げるか」は、企業全体の収益性向上のためには必須テーマです。

それらの改善を進める上で焦点となるテーマは、

①業務改善・業務効率の向上
②少人化(配置)
③業務の継承

などです。

しかしながら、
もし、いまの業務のやり方・配置人数の前提のままで、少人化・業務改善をやろうものなら「業務サイクルそのものが破綻してしまう」懸念があります。

何故ならば、
①管理・処理ポイントの増加=業務処理の複雑化
②既にギリギリの人数で業務を回している
という問題があり、実は「改善の余力が無い」というのが現実であるからです。
特に、中小企業では、
・元々が少人数の運営でやっている
・効率化させるシステムに投資する資金が無い
という理由で「改善したくてもできない」というのが本音だと思います。

また、業務処理部門では「長期的に特定スタッフに依存→属人化=暗黙知化」しているケースがよく見られます。暗黙知のままだと、将来的な「業務の継承」にも停滞が予想されます。

その特定スタッフの業務処理の特徴・傾向をみると、
「固有の業務範囲 × 固有の処理方法 × 固有スキル × 固有パフォーマンス」で成り立っているケースが多く見られます。

簡単に言えば、
・その人のやり方が特徴的であるため、他の人には真似できない
(長い時間をかければ習得できる、かもしれない)
・その人が頑張ってやっているだけ。それでやっと成り立っている
(広範囲、長時間勤務、長期間従事)
・”それらが現実だ”との理由で、担当交代ができないでいる
(思い込みのケースもあり、実際はできるかもしれない)
ということです。

「固有の○○」であること自体が問題であり、同じやり方のまま、新規スタッフに交代しても求める結果を出せるか、は疑問です。

■ 業務改革と世の中の流れ

これらの予測・課題を踏まえると、働き手の減少が加速する中で
「これまでの前提条件を変えて人材活用していく」という発想で
先手で対策を打っていくことが求められます。

「これまでの前提条件(これまでの配置基準・業務基準)があり、同じような人員配置は難しい」
と結論づけるのではなく、
「前提条件を変えて(業務そのものの枠組み・方法論を変えて)人員配置する」ことがポイントです。

これを実行しようとすると【業務改革】が必要となります。

参考)業務改善と業務改革の違い
・業務改善:5%程度のコスト改善効果(業務を改善する)
・業務改革:20%以上のコスト改善効果(業務の前提を変える)

最近では、
・小売業のセルフレジ化(スーパーなど)
・GU・ユニクロの自動精算システム(ICタグ活用)
・ガストの24時間営業店舗の廃止+タブレットセルフオーダー
・施設サービスのICカード入店・清算
・コンビニの無人店舗運営の実験(ローソン)
など

顧客との対面対応が業務の基本だったモノが、だいぶ様変わりしてきています。
これらはすべて「少人化・配置→コスト・負荷低減」を前提とした【業務改革】です。
これまでの必要配置数の前提を変える取り組みです。

世の中に【業務改革】=「業務効率化(自動化)・少人化」の波は、確実にきていると感じます。

まだ小売・サービス業が中心ですが、これからは他・業種への導入の拡がりも予想されます。
(製造現場の自動化・少人化 など)

これからも確実に労働力は減少します。この現実からは逃れられません。

しかしながら、【業務改革】の発想で会社を変える、
これは今からでも始めておくべきです。

株式会社シーアークス HP
業務改善コンサルティング

No.204 松下村塾にみる【人材育成の本質】

● 吉田松陰とは?

「松下村塾」で有名な吉田松陰は、個人として優れた功績を残したり、成功を収めたわけではありません。

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今でも、その名を知る人は多いですが、
松陰の生まれ故郷の山口では「高杉晋作の方が有名人、大きな功績を残した人」とされています。

吉田松陰は、
脱藩、密航、暗殺計画、度重なる投獄など、失敗続きの人生。。。

だからと言って、
まったく価値の無い人だったのか、、、
ということではありません。

吉田松陰には、誰にも負けない、最大の功績があります。

それは「優れた後継者を育てたこと」です。


独りの人生において「仕事の成果への評価」として、

カネを残すは【下】、仕事を残すは【中】、
そして、ヒトを残すは【上】 という言葉があります。

※参考まで、
感動を残すは【最上】、と誰かが付け加えていました。


その志を受け継いだ塾生・門下生たちが、幕末から明治維新期に活躍し、日本を変えていきました。

● 松下村塾とは?

松下村塾は、長州・萩の片田舎、小さな私塾から始まりました。
僅か2年の期間でしたが、多くの塾生・門下生を抱えました。

松下村塾が無くなった後も、塾生・門下生は、吉田松陰の教えや日本を変えていくという志を忘れませんでした。

それが、内閣総理大臣2名(伊藤博文、山縣有朋)や、近代日本の礎を築いた明治政府の重役など、多くの人材を輩出していくことになります。

● 吉田松陰の教えと教育方針

松下村塾での吉田松陰の教えと教育方針は、実に生々しく、きめ細かいモノでした。

吉田松陰は入塾希望者に「なぜ学問をしたいのか?」とよく聞いたそうです。

その問いに、門下生だった人の多くは、
「書物が読めないので、稽古して読めるようになりたい」と答えたそうです。

すると松陰は、
「書物なんかは心掛けさえしておれば、実務を覚えるなかで自然と読めるようになる。ただ読めるだけの学者になっては駄目だ。人間、実行が第一である」と伝えていたようです。

吉田松陰は、塾生・門下生たちに対し【実行第一】を頻繁に述べており、「学問とは行動を伴ってこそのモノである」としていました。

「至誠にして動かざるもの未だこれあらざるなし」という孟子の教えを自身の座右の銘としたほどです。

● 松下村塾は僅か2年

吉田松陰が主体となり「松下村塾」で教えていた期間は僅か2年です。
しかも、門下生たちが集まり松下村塾の最盛期と言われた期間は僅か1年だけ。
塾生が集まりだし、塾舎を新たに広くして、正式な「松下村塾」の形になったのは松陰が投獄されるたった1年前のことでした。

つまり、私達が伝え聞いている「松下村塾」とは、門下生たちによる吉田松陰の教え・志をを受け継いできたモノのようです。

それゆえ、長州の萩という辺境の田舎、小規模な私塾から、幕末と明治維新期に多くの人材を輩出したのは、ある意味で【奇跡】と言えます。

● 長所を伸ばし自覚を促す

松陰は人を疑わず、【人の善を見ること】を大切にしていました。

松下村塾の塾生には高杉晋作を筆頭にクセが強く、頑固な一面を持った人々も多くいました。

維新の三傑の一人、桂小五郎(木戸孝允)が高杉晋作の人の話を聞き入れない頑固さに手を焼き、松陰に手紙で「高杉晋作になんとか言ってやって欲しい」と言ったほどです。

しかし松陰は、「その頑固さが高杉晋作の魅力であり、矯正すれば彼の良さが消えてしまう」として逆に桂小五郎をなだめてしまいました。

高杉晋作が入門した当時、その鋭気な性格を評価しつつも学問に弱点があると見抜いた松陰は、高杉晋作が幼き頃から知る仲だった久坂玄瑞をライバルに仕立てあげ、事あるごとに久坂玄瑞を褒めました。

内心面白くなかった高杉晋作は燃えるように学問に励み、みるみるその才能を開花させていった逸話は有名です。

悪い部分は見抜いたとしても、基本的に良い部分をしっかり理解できていれば、それを伸ばすというのが基本的な考えだったようです。

● 参加型の議論と討論

私塾というと、教える側が永遠と眠くなるような説教臭い話を「講義形式」でやることをイメージします。

しかし、松下村塾では集団を相手にする「講義形式」をとることもあれば、また「違った形式」をとることもありました。

基本は「参加型の議論と討論」が中心で、決まったカリキュラムは特になく、それぞれの目的とペースに合わせて進めました。

議論と討論は、最初から活発なモノではなかったようです。

今もそうですが、この時代の若者も、「自分から積極的に話す」という人は少なく、議論は慣れておらず、あまり話さない。
それを物足りないと感じた松陰は工夫を凝らしていったようです。

講義は1対1の形式(塾生対塾生)の形をとることもあれば、一人の塾生が順番で多数の塾生を相手に講義を行ったり、「対策」と称して松陰から出された課題に作文のような形で塾生が提出し、それを添削する方法もありました。

任意の読書や自習の時間もあり、連絡事項があれば壁に貼り付けていたといいます。

高杉晋作が書いた対策(課題提出)が現存しており、その答案用紙は松陰の添削で真っ赤っ赤。
しかも、二人の間を3往復し、最初は「読む気がしない」とまでこき下ろしておきながら、最後にはきっちり「これはまさしく我が国の文」と松陰の大絶賛で締めくくったそうです。

● 共に学ぶ

講義は時間割もなく、登校の義務さえナシ。

テストなし。通信簿のようなものはあったようですが、それほど重要視もされておらず。

塾生が集まると講義が始まる。その講義は塾生同士はもちろん、松陰も加わっての活発な議論が中心。

決して口うるさく注文はつけず、一人ひとりの自主的な参加意識によって維持されていた松下村塾は身分や年令による縦割りの意識、上下関係を一切捨て去り、自由闊達な議論と討論が行われたと言います。

高杉晋作が江戸遊学のときに吉田松陰が佐久間象山宛に紹介文を書いています。そこでは、高杉晋作を「友人」としており、門下生や弟子といった表現は一切使いませんでした。

松下村塾では、教えるのではなく「共に学ぶ」という謙虚な姿勢が大事にされていたようです。

そこには、今にも通じる「学ぶ」本質があるのでは、と考えます。

人材育成の本質は今も同じであり、
「松下村塾の育成システムと工夫」は現代でも十分に参考にできると思います。

株式会社シーアークスHP

No.203 サッカーからみた 強い組織・チームづくり

◼ 競技スポーツの進化はスゴい

競技スポーツは常に進化しています。

オリンピックなどの世界大会では、常に新記録が生まれます。
「この記録は、しばらくは破られないのでは。」という記録も、ある日アッサリと破られたりします。

現在のスポーツでは、人間の動作や試合展開などのデータをコンピューターで解析し「上手くいくための最適な解を導きだす」という科学的な方法論がほとんどのスポーツで導入されています。

以前までの「相手との単純な勝負」ではなく、試合前から研究合戦がスタートします。
その流れで、記録を伸ばすため、勝つための新たな理論が次々と生まれていきます。身体能力強化の効率的なトレーニング方法など、実践できるように常に研究されています。

◼ サッカーの組織・チームづくりを見る

自分はサッカーが好きで、関心を持ち始めた10代の頃からこれまで、サッカーというスポーツの進歩の過程をずっと見続けています。(サッカーは経験者ですが、プレイヤーとしてはダメです。)

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例えば、過去の最強チームが、現在の上位チームと対戦しても、ほぼ相手にならず負けます。
現在の強いチームは、プレッシング・バス効率・ポゼッションの考え方を駆使し「ボール支配率」を上げるなど、高度なレベルで試合をコントロールします。過去の最強チームはおそらく何もできないまま負けることになるでしょう。

それくらい「サッカーの質・レベル」が違います。

サッカーも科学です。
相手を研究しつくし、相手の強みを消す、相手の裏をかく、試合を支配する、など様々なシミュレーションを試合前に行い、チームのフォーメーションや戦い方に反映させます。

サッカーには、「戦術」と「ディシプリン(Discipline)」という言葉があります。
この二つの要素がチームの特徴を決めます。


戦術とは「戦い方」です。

例えば、あるチームの戦術=戦い方として、

●フォーメーションは4・4・2(DF4人、MF4人、FW2人)で、守備を厚くして全体のバランスをとる。
※(他-例)3・5・2 中盤を増やし、試合をコントロールする。サイド攻撃をより強くする。

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●攻撃は相手のサイドを崩すことを重点とする
 試合中、攻め方を絞る。重点でやり続けることで、最後は成功確率の話になる。※ただ攻撃のやり方が偏りすぎると、相手に対応されて無効になっていく。

●守備はゾーンプレスを主とする。
 特定のエリアで複数人数をかけて組織的に守る。相手ボールの際に組織的なプレスにより、パスコースを限定させ、ボール奪取する。

など。


ディシプリン(Discipline)とは、チームとしての「共通理解」あるいは「約束事」です。

チーム戦術を機能させるための「約束事」を緻密かつ具体的に決め、試合内で選手が実践していきます。

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例えば、具体的には、

●フォワードが前線でプレッシャーをかけ、敵陣内てボール奪取、最小回数のバスでボールを動かし、ゴールを狙う。

●相手が速攻をかけてきたら、ボールの出所を3人の守備をかけて潰し、速攻のスピードを遅らせる。

●自陣で相手のボールを奪った後は、必ずワンタッチで回し、素早くリスクを回避する。

など。


サッカーは、「戦術」でチームの戦い方の大きな方向を定め、「ディシプリン(Discipline)=約束事」で機能させるのが、基本プランとなります。
「戦術の適合度」と「約束事の徹底レベル」がサッカーの質・レベルとなり、「勝利という結果」につながるかどうかを左右していきます。
※ただ、相手の戦術が自チームの上をいけば、途端にプランは崩れます。

以上により、チームは「組織化」され、その戦術・約束事のもと、試合は展開していきます。

◼ 会社の組織・チームづくりを見る

コンサルという仕事の視点から、サッカーの「組織・チームづくり」はビジネスの世界に通じるモノがあると考えています。

それは、会社における「組織・チームづくり」と同じです。

もし、会社の組織・チームとして

●機能が低下している
もしくは、
●機能不全に陥っている

が問題になっているならば、

上記の観点で重ね合わせて見ていくと、
「何が欠けているのか」が理解できると思います。

コンサルの経験上、
組織・チームの機能に問題を抱えている会社の場合、

●戦い方(方針)が不明確
●約束事(ルール・規律)が機能していない(もしくは無い)

というパターンが多いです。

それにより結果として、「組織・チームづくりが上手くできていない」ということになります。

ただここが分かれば、

●戦い方(方針)を明確に定め伝える
●約束事(ルール・規律)を見直し、メンバーに徹底させる

という対策をとれば良いということになります。


※補足、会社では、
●戦略 マーケティング・ターゲット、選択と集中
●戦術 戦い方=戦略展開具体策、方針
●戦闘 戦うルール・決まり事=客への具体的な対応
となります。


モノゴトを別の角度・視点から多面的に見ると、これまで見えていなかった事が、ハッキリと、いろいろと、理解できる事が多いです。

「サッカーから見る~」は自分の視点の補強には、意外と役立ってます。※こういう視点は、まだ他にもあります。

株式会社シーアークスHP