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No.205 労働力減少と業務改革

■ 日本の人口と労働力の現状 

世の中は、少子高齢化・労働人口減少の真っ只中です。

2015年調査時点の日本の総人口は 1億2,709万人、労働人口は 6,440万人(総人口の 50.6%)です。
※ 直近2019年の総人口 1億2,470万人(2018年比 43万人減)
10年連続で人口減少中。今後も続く。

2040年予測では、総人口 1億1,374万人、労働人口 5,245万人(総人口の 46.1%)、2015年の労働人口から1,195万人(18.5%減)も減少する見通しです。
2015年と2040年を比較すると「総人口減少数(1,335万人減) ≒ 労働人口減少数(1,195万人減)」であることから「労働力のみ消失する」ということが言えます。

総人口は、2048年には1億人を下回る予測です。
(2048年 総人口予測 9,931万人)

そうなった段階の労働事情を予想すると、
「必要な場所・仕事に必要な人を配置する」ことは、ほぼできなくなっていると思われます。
現在においても、働き手の不足、採用難で苦しむ会社が多くなっていますが、実数を見れば、それも当然の流れであることが分かります。なかなか厳しいですね。。。

■ 会社の業務の問題 

ここで、会社の仕事に目を向けていきます。

企業では「全社の固定費の内、管理部門・管理業務のウェイトをいかに下げるか」は、企業全体の収益性向上のためには必須テーマです。

それらの改善を進める上で焦点となるテーマは、

①業務改善・業務効率の向上
②少人化(配置)
③業務の継承

などです。

しかしながら、
もし、いまの業務のやり方・配置人数の前提のままで、少人化・業務改善をやろうものなら「業務サイクルそのものが破綻してしまう」懸念があります。

何故ならば、
①管理・処理ポイントの増加=業務処理の複雑化
②既にギリギリの人数で業務を回している
という問題があり、実は「改善の余力が無い」というのが現実であるからです。
特に、中小企業では、
・元々が少人数の運営でやっている
・効率化させるシステムに投資する資金が無い
という理由で「改善したくてもできない」というのが本音だと思います。

また、業務処理部門では「長期的に特定スタッフに依存→属人化=暗黙知化」しているケースがよく見られます。暗黙知のままだと、将来的な「業務の継承」にも停滞が予想されます。

その特定スタッフの業務処理の特徴・傾向をみると、
「固有の業務範囲 × 固有の処理方法 × 固有スキル × 固有パフォーマンス」で成り立っているケースが多く見られます。

簡単に言えば、
・その人のやり方が特徴的であるため、他の人には真似できない
(長い時間をかければ習得できる、かもしれない)
・その人が頑張ってやっているだけ。それでやっと成り立っている
(広範囲、長時間勤務、長期間従事)
・”それらが現実だ”との理由で、担当交代ができないでいる
(思い込みのケースもあり、実際はできるかもしれない)
ということです。

「固有の○○」であること自体が問題であり、同じやり方のまま、新規スタッフに交代しても求める結果を出せるか、は疑問です。

■ 業務改革と世の中の流れ

これらの予測・課題を踏まえると、働き手の減少が加速する中で
「これまでの前提条件を変えて人材活用していく」という発想で
先手で対策を打っていくことが求められます。

「これまでの前提条件(これまでの配置基準・業務基準)があり、同じような人員配置は難しい」
と結論づけるのではなく、
「前提条件を変えて(業務そのものの枠組み・方法論を変えて)人員配置する」ことがポイントです。

これを実行しようとすると【業務改革】が必要となります。

参考)業務改善と業務改革の違い
・業務改善:5%程度のコスト改善効果(業務を改善する)
・業務改革:20%以上のコスト改善効果(業務の前提を変える)

最近では、
・小売業のセルフレジ化(スーパーなど)
・GU・ユニクロの自動精算システム(ICタグ活用)
・ガストの24時間営業店舗の廃止+タブレットセルフオーダー
・施設サービスのICカード入店・清算
・コンビニの無人店舗運営の実験(ローソン)
など

顧客との対面対応が業務の基本だったモノが、だいぶ様変わりしてきています。
これらはすべて「少人化・配置→コスト・負荷低減」を前提とした【業務改革】です。
これまでの必要配置数の前提を変える取り組みです。

世の中に【業務改革】=「業務効率化(自動化)・少人化」の波は、確実にきていると感じます。

まだ小売・サービス業が中心ですが、これからは他・業種への導入の拡がりも予想されます。
(製造現場の自動化・少人化 など)

これからも確実に労働力は減少します。この現実からは逃れられません。

しかしながら、【業務改革】の発想で会社を変える、
これは今からでも始めておくべきです。

株式会社シーアークス HP
業務改善コンサルティング