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No.215 データ経営 その目的と成果を考える

今回は「データ経営、その目的と成果を考える」をテーマとします。

パナソニック、ワークマンなどでも「データ経営」の推進がはかられ、業績向上という成果につながっています。


〔ワークマンのデータ経営の例〕
ワークマンのデータ経営では “エクセル活用”“情報共有” を軸に置いています。
社歴3年以上の社員全員に対し、“エクセルを活用したデータ分析手法” を学習させます。
それを継続した結果・何が起こったか。
“自分たちの考えで店舗の業績向上の狙い目・活動を具体化”させ、1店舗あたりの売上レベルも飛躍的に向上しています。
店舗スタッフにも、スーパーバイザー的な業績の視点を持つ人材が増えました。
全社的に “売上分析手法の進化、仕入商品の適正化、分析ツール作成(エクセルVBA)、社内の成功事例の共有”などが進んでいます。
「データ経営」を起点とし”全員参加型の経営”に会社が転換できたこと は、現在のワークマンの成功要因の一つだと思います。

〔補足〕一般企業でのエクセルの活用レベルは「本来のエクセルが持つ機能の5%程度」です。(実際は、ほぼ使えていない状態)
エクセルの知識と機能活用のレベルを上げる事で、データ集計・分析など様々な事ができるようになります。
マクロVBAまで使うと、”簡易システム(データベース構築 など)の製作” が可能です。(■ 情報データ活用サポート
もし “それが自社でできてしまう” なら、外部のシステム会社は 不要 です。


「データ利用」「データ活用」は、どの会社でもやっている事です。

ただ、多くの会社における”データ活用の範囲”は、
(1) 基幹システム・業務システムで取り扱うデータ
(2) 個人のマンパワーで収集するデータ

というケースが多いです。

■ データ経営とは何か

「データ経営」とは、データ活用を更に発展・進化させ、
「多くのスタッフが会社のあらゆるデータに関与し、経営と業績向上に活かす取組み」です。単なる「データ利用」「データ活用」に留まらず、「データ経営」のレベルに会社を進化させることに意味があります。

ここで言う“経営と業績向上に活かす”とは、
① データ加工・分析
② 判断・実行の迅速化
③ 業務改善・効率化
④ 収益力の向上

を指します。

■ データ経営をやる会社の強み

いまのところ、大手企業での成果が目立ちます。
ただ、”大手だからこそ取り組める” “中小レベルでは取り組めない” という訳ではありません。
本来なら、”すべての会社で 「データ経営」に取り組むべき” と考えています。
その理由は “データに強い会社=競争力が高い” という、これまでのコンサル経験での実感値があるからです。
企業規模の大小の差は関係なく “どの会社にも必要な考え方” です。

企業経営で「判断・実行する」のは、様々な場面であります。
その判断基準となるのが、情報や データ です。
「判断・実行のスピードが早い」というのは【大きな強み】です。
反対に、判断スピードを欠いた会社は、実行が遅れます。その遅れは、会社に損失を発生させる【致命的な弱み】です。

また、情報・データを上手く活用できている会社は ”経営システムが常に進化していく” という傾向もあります。


最近、各社が抱える問題に、
「原油価格の高騰」「原材料の高騰」「調達難 × 調達額の上昇」などがあります。
これはコストの問題であり、経営に非常に大きな影響を及ぼしています。
この問題は、しばらくは継続、更に変化する可能性が高いと見ています。

この問題への対処ポイントは、以下です。
①調達方法や生産方法の見直し
②生産調整=計画変更
③販売価格の変更(価格転嫁)
④顧客との調整(価格・納期など)

この問題では「すべての情報を網羅し、正しく判断できるか」が大事であり、その判断の内容が結果を左右します。

外部や顧客など相手がいるため、対応難易度が高い問題ではありますが、
タイミングをはかり適切に判断・対応できれば、“利益の確保”につながります。
もし、判断・対応の遅れ・ミスがあれば、“大きな損失”になります。
問題が発生したときは、”迅速かつ正しく判断・対応” が大原則です。

■ データ経営を進める条件

「データ経営」を進めるには、条件があります。


(1) 会社全体で改善・効率化を目的とし「データを活かす事」が方針に定められている

(2) すべての社員が「データを視る目」「データを活用するための手法」を備えている

(3) データを活かし改善・効率化を促進するために「一定の範囲での役割・責任と権限委譲」がはかられている


“会社の活性化・改善活動にはボトムアップが必要”とよく言われますが、
その際に大事な事は「末端社員から情報を吸い上げたり、様々な活動に積極的に関与させ、会社全体の活性化をはかる事」です。
「データ経営」は、“ボトムアップを現実的に進める方法論”でもあります。

■ データ経営に期待される成果

”データ経営に期待される成果” は以下の通りです。


(1) 暗黙知を形式知に変える(可視化)→「データ活用の仕組み化」の推進

(2) 社員各自のデータ収集・分析レベルの向上 → 業績への反映

(3) データ活用を機会に、社内コミュニケーション・改善活動の活発化


“データを経営レベルで十分に活かすこと” ができれば、
それは確実に ”会社の強み=競争力の源泉となる” と考えています。

■ 株式会社シーアークス
■ データ経営サポート

No.214 取締役とは、その要件 経営トップの責任

会社の業績向上に関連する要素は、
(1)「市場 × 事業」の状態
(2) 経営トップ・取締役のパフォーマンス
(3) 経営システムのレベル
(4) 組織・人材の充実度
(5) 業務の遂行力

に集約されると考えています。

今回は「取締役とは、その要件 経営トップの責任」について述べます。

A社の社長から「取締役の処遇」について相談を受けました。
A社へのアドバイス・助言は後述します。

■ 取締役とは、その要件

経営全般の責任は、経営トップにあります。
しかし、実際は経営トップだけでは手が足りず、すべてをカバーする事はできません。
そのため「取締役の任命」が必要となります。

そもそもな話として、
取締役とは、管理職のように「定められた範囲の仕事を管理する人」ではありません。

自分は、取締役とは「以下のような人であるべき」と考えています。

(1)有限責任があり、経営側の立場
(社員側の立場ではない。保身や打算が無い)

(2)会社の業績向上のため、経営全般の範囲に関与する、経営トップの補佐役

(3)取締役として、事業範囲 or 業務範囲で 固有の責任、固有のミッションがある

経営トップは、“上記(1)~(3)について、現取締役はどうなのか、そのパフォーマンスを評価すべき” と考えています。
※パフォーマンスは関係なく「そのまま取締役の立場は継続」というケースは意外と多いです。

■ 取締役を評価する目的・理由

その理由は、取締役は「経営トップの代行者として会社の業績に大きく関わる人」だからです。もしくは、そうでなければいけません。

仮に、経営トップが会社の正しい方向・計画を定めることができたとしても、
補佐役たる取締役が機能しないと、計画推進の過程で問題が出てきます。

取締役自身の十分な認識・能力・意欲があるかどうか、が大事なポイントです。

経営トップが取締役を評価した場合、上記(1)〜(3)について「何らかの不足や疑義」を感じるなら、
その人は取締役としての
■ 要件を備えていない
■ パフォーマンス不足

と思われます。
中には「認識が甘い」「そもそも、取締役としての責任範囲がアイマイ」というケースもあります。

取締役のパフォーマンスへの評価 について 妥協は禁物 です。
経営トップが妥協した時点で「只の惰性の関係」に変わります。
しかしながら、中小規模の会社では、妥協のケースはよく見られます。
なぜそうなるのか。
理由は「親族だから」「後継者だから」「過去の功績があるから」など。
「中小企業の規模・レベルのまま」なのは、実はこの点が原因 だったりします。

■ 経営バランスの重要性

さて、A社へのアドバイス・助言の内容ですが「取締役の退任、相談役としたらどうか」としました。
理由は「(過去の功績はあるが)取締役として既に機能しておらず、経営バランスを欠く存在となっていた」からです。

経営体制をつくる上で「攻めと守りのバランス」は重要ポイントです。
攻めだけでもダメ、守りだけでもダメ、両方のバランスをとることが大事です。

例えば、事業単位・業務単位の取締役は1名が基本です。それを2名にしてしまうと「双頭の竜」の状態になり、関係する従業員は混乱します。こうなると、組織自体が機能しなくなる場合もあります。※実際にあったケースです。
また、事業責任者が不在だと計画策定や強化が上手くいきません。
経営体制のバランスを欠くと、会社は思うように成果が出せなくなります。

もし「責任範囲がアイマイな取締役」がいたら、高確率で全体のバランスを崩す存在となります。
※これも過去のコンサル先でありました。
本来なら、あり得ない事です。
ちなみに、その取締役は「親族」でした。

■ 取締役の任命に関する問題ケース

中小規模の会社では、親族を取締役に任命する事は比較的・多いです。
理由の多くは、取締役人材の選択肢が無いためです。
これについて否定する訳ではありません。
より近い立場で経営トップを支えることができるという、プラスの面もあります。よくあるのは、資金管理を担うケースです。

ここからは、問題ケースです。

経営トップが「会社の業績向上・規模拡大」を考えたとき、「取締役の経験値・能力・パフォーマンスの不足」が大きなネックとなる事があります。
これは、会社の成長レベルに対し、取締役の力量が不足している ケースです。
この状況になると、経営トップはかなり悩む事になります。

また、役員数が会社の規模と釣り合わないケースもあります。B社は年商5億に対し「社長を含めて役員が5人」もいました。明らかに役員の頭数が多過ぎです。役員の半数は機能していません。いわゆる「名ばかり取締役」です。

本来、年商10億レベルまでの会社なら、社長以外の取締役は「多くても2名」で十分です。
それ以上の企業規模では「成長レベル×事業の在り方でバランスをとる」「経営機能を強化する」考え方で、必要に応じ、取締役を任命するのが基本です。

会社が続けば、成長すれば、取締役の交代が必要 となる場合があります。
ただ「前の取締役が退任せず、新たな取締役が追加される」なんてのはナンセンスです。無意味に頭数が多いと、経営効率を下げるだけです。

取締役の任期は、通常は「2年」です。※監査役は4年。取締役の任期が近づいたら、当人の成果レベルを確認し「任期の延長 or 退任」とします。
「親族だから」「長年の功労者だから」を、取締役の継続の理由とするのは、まったく意味はありません。
非公開会社の場合のみ「最長10年」と規定する事もできます。

■ 経営トップの責任

(1)取締役に任命する事そのものが大事なのか

(2)取締役としての 実際のパフォーマンスが大事なのか

会社の先々を考え、取締役の評価・処遇の意味と現実を考える事、それが経営トップの責任 です。

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No.213 需要×市場の変化 ビジネスとの関わり

コロナ感染がいまだ収まりません。状況が長引くほど、需要や市場への直接・間接の両面の影響が大きくなります。どうやら、まだ時間がかかりそうですが、1日でも早く終息してほしいです。

今回は、需要と市場の変化、ビジネスとの関わりについて、自分の立場・観点で理解していることを述べていきます。

■ 需要と市場とその影響

市場で最も大事なのは「需要」です。
「需要の総量=各商売の総ボリューム」です。
景気のよいときは、需要は増大します。その逆なら需要は減少します。

需要は「世の中で必要とされているかどうか」を示すモノであり、世に流通している、材料(金属、資材、油など)、製品(機械、家電、自動車 等)、商品(食品、生活用品 等)、サービスなど多岐に渡っています。
需要の中で、細分化・分野ごとに市場が形成されます。

大前提として、需要は人口に比例しています。
例えば、内需主導型のフィリピンのような国なら、人口増減が需要にストレートに比例します。
その一方で、海外貿易が活発、海外観光客が多いなど、外需が得られる国では、人口増減と完全には比例せず、異なった需要の動きになります。

また、社会情勢の変化、技術・サービスの変化、消費者ニーズの変化、政治の動向にも大きく影響を受けます。需要は、様々な環境変化の影響ですぐに増減します。
その変化の様子は生き物のようでもあります。

■ 市場規模の推移

最初はよく売れていても、気が付いたら、、、 となっていることがあります。
どんな商品・サービスにも、寿命があります。

上記は「プロダクトライフサイクル」です。市場規模とその推移・関連を示すモノです。


【導入期】
新しい市場は、最初の規模は小さく、競争相手はほぼいません。
事業者は、市場として伸びる可能性があると判断できれば、資源を更に投入していきます。


【成長期】
「需要が増えれば」 その市場規模は更に増大していきます。
この段階では、新規参入者が増加します。理由は「市場と成長していて魅力があるから」です。
各参入者は「仕事量=売上」を増やそうと、価格・サービス競争が激しくなります。
現在では「IT市場」はこのポジョションにあります。世の「デジタル化ニーズ」を受け、これからも更に伸びていくことでしょう。


【成熟期】
市場成長のピークを越えると、市場の伸びが鈍化していきます。
消費者の商品・サービスへの理解度も上がり、要求される品質レベルも一定となります。
競争関係も落ち着き、新規参入者はほとんど無くなります。この段階では、購買時に選ばれる商品は、ある程度固定化されます。「同じ相手・同じ商品での取引が多い状態」になります。


【衰退期】
市場の成長が止まり、減少・衰退していく段階を向かえます。
ここでは、各事業者の売上・利益もピークから減少に転じます。
「いろいろ取り組んでも、なかなか売上が伸びない、下がっていく」という状況になります。
この時期には、事業者の撤退が増えていきます。


■ 市場の変化は、なぜ起こるのか

なぜ、市場の変化が起こるのか、市場に影響を与える要素を下記に示しました。

大きな部分ではマクロ環境、各業界・業種ではミクロ環境、その変化がビジネスへの影響を及ぼします。その中でも、全般と消費者の購買行動の観点で整理すると、主には下記がポイントです。


<全般への影響>
■ 所得が増減する。可処分所得が増減する
→ 消費レベルに影響する
■ 物価の上昇・低減
現在:原料価格の上昇→商品へ価格転嫁、ガソリン価格の上昇→輸送費の値上げ
■ 一時的に需要が増大・供給不足になる
現在:半導体の不足→製品製造への影響
■ 行動に制約がかかる(コロナ感染防止)
→ 消費レベルに影響する


<消費者の購買行動に関わる影響>
■ 新商品・新サービスが普及する
(価値が高い)
■ 代替品・代替サービスの利用が増えたことで既存品が不要になる
■ 利用による優遇措置が受けられる
(エコカー補助金など)
■ 単純に商品が飽きられる
(商品価値の陳腐化)


商品は、ある日突然、必要になったり、不要になったりすることがあります。
2つの例でみていきます。


例1 技術革新の影響:レコードの商品価値
過去に存在したレコードは分かりやすい例です。レコードは音源の記録方式の一つでした。
しかしながら、記録方式の主体はCDに変わり、現在ではデジタル媒体へと変化しています。
20年ほど前に著作権の問題がクリアされ、ネット音楽配信サービスも始まり、いまでは音源提供の主体になっています。「技術革新で画期的な商品が発明されると、それまで必要とされていた商品が無価値になる」ということです。ここでは、レコード需要の消失が起こりました。
こうなると、レコードプレーヤーとレコード販売業者が不要になります。
現在ではレコードは製造そのものがありません。中古品が流通している程度です。


例2 コロナ感染拡大の影響:マスク需要の増加
2020年春先から、コロナ感染防止のため、個人ごとマスク着用が必要になりました。
個々の感染防止への意識が高まり、生活必需品として欠かせないモノとなりました。
需要が急激に増加し、販売店での品薄・欠品が続きました。
※需要増加に対し供給不足の状態
このとき、既存業者ごと供給力の増強(工場のライン増)もありましたが、新規業者の参入が多くありました。ネットで高値で転売する業者も現れました。
大手のユニクロも後発で参入し、現在では、価格・供給量も安定しています。


■ 需要・市場分析/例

過去に、マーケティング会社での仕事で「白物家電の需要動向調査」を担当しました。
市場分析の参考例として、その調査の抜粋、白物家電の需要・市場の特性を示します。


【需要・市場の特性】
■ 白物家電:エアコン・冷蔵庫・洗濯機など
■ 日本市場は、主に「買替需要サイクル」で成り立っている
■ 買替需要のサイクル 5~10年 国内でもエリア差がある
■ 国内販売の製品 日本仕様を基準として製作。
■ 日本仕様の製品は、日本では売れても、ヨーロッパでは売れない。
日本仕様の製品は「機能性へのニーズ対応に傾く傾向が強く、オーバースペックになりがち」
⇒ ヨーロッパの製品ニーズは「シンプルな機能、使い易さ、耐久性」の方が高い。


【白物家電の購買動機/タイミング】
■ 所持している製品が古くなった
■ 所持している製品が故障した
■ 新しい製品が出た(買替)
■ 便利な機能がついている製品が欲しくなった(買替)
■ 引っ越しの機会での買替
■ 家族が増えたことで必要になった(買替or追加)


【製品ニーズ/当時】
■ 省電力
■ 操作のし易さ
■ 時間短縮=スピード
■ 壊れにくい
■ 見た目がよい
■ 機能性
■ 動作音が静か
■ 価格の設定レベル(適切性)


こんな感じで、製品分野ごとに需要・市場特性があります。
また、消費者の購買動機やニーズは一定ではなく、常に変化します。

■ 需要×市場の変化、ビジネスとの関わり

今後の需要・市場の変化・予測において、多くの産業への影響度が高い要素で、主なモノをまとめました。


【社会】
■ 総人口の減少
〔2021年〕1億2,610万人
→〔2048年予測〕9,900万人
■ 少子・高齢化
〔2019年〕総人口 1億2,617万人
15齢未満 1,541万人〔12.2%〕
65齢以上 3,589万人〔28.4%〕
〔2045年予測〕総人口 1億642万人
15齢未満 1,138万人〔10.7%〕
65齢以上 3,937万人〔37%〕
■ 労働人口の減少
〔2021年〕6,860万人
→〔2040年予測〕5,200万人
■ コロナ感染の継続 〔2020年~現〕
→ 行動制限


【政治・経済】
■ 政治の影響(国として経済・産業への未来展望があるか)
■ 規制の強化 or 緩和
例〕遊技機の規制強化
■ 購買行動の変化(コロナの影響)
■ 原材料の高騰 → 物価の上昇


【需要】
■ 人口減少に伴う総需要減
■ 外需の増加
例〕観光需要/外国人観光客の増加
※現在は制限
■ 環境影響による需要の変容
例〕外食減 → 内食増(コロナの影響)


【技術・サービス】
■ デジタル技術・サービスの進化と一般化(浸透)
■ 代替技術・代替サービスによる需要の変容
■ 各業界/IT技術導入の進展、ビジネスプロセスの変化
■ ガソリン車 → 電気自動車・燃料電池車へシフト
2030年代中盤:ガソリン車 販売禁止の可能性 ⇒ 関連事業者に大きな影響


現在の日本は人口減少の段階に入っており、国内需要は年々減少している状況です。
それに加え、コロナ問題の長期化が需要・市場に影響を与えています。

その中でも飲食業は、大きな影響を受けています。
感染拡大防止のため「個人への行動制限」がかかり、利用者が激減しました。
飲食事業者の独自調査では 「仮に2022年内にコロナが終息しても、2023年の客数はコロナ前の7割程度」という結論が出ています。営業自粛・行動制限によって、飲食の利用習慣が変化したのは確実であり、ほぼ予測通りになると思います。
外食のワタミでは、既存店の閉店と業態転換を急速に進めています。(居酒屋/現270店 → 2023年末までに80店を閉店)
需要そのものが変化し戻らないのが確実なら「事業規模の縮小へシフト」という判断・選択になります。
このような飲食チェーン事業者は、まだまだ増えると思います。

飲食チェーンの事業の特徴は「出店増により業績を伸ばす」です。(これまでは)
各飲食チェーンは店舗数の規模拡大で「市場における認知度を高め、集客力を上げる」という側面もあったと考えます。
ただ、疑問なのは「総人口減少⇒総需要の減少」が進んでいるのに対し「なぜ店舗数を増やしていくのか」という事でした。
おそらく「業績を伸ばすこと」に傾倒し、「需要の減少推移は理解しつつも、独自の競争力強化で対応する」という方針であったと推測します。
よく「飲食の競争激化」という言葉を耳にしますが、実際は「過度の競争状態、オーバーストアの状態」でした。
ただ、この状態が続けられるはずもなく、いずれ各飲食チェーンは「規模縮小(適正規模)に舵を切らざるを得ない」と考えていました。
皮肉にも「コロナがその問題を鮮明にし、早期の方向転換を余儀なくした」と考えます。


反面で、需要が増加したものがあります。
コロナに端を発し、非対面・非接触ビジネスのニーズが増加しました。
テレワーク増加により、2020年のパソコン出荷台数が過去最高になりました。
それと同時に周辺機器の出荷も増えています。
政府もIT導入補助金で「企業のIT化を支援」しています。
IT化の支援には
労働人口減少( = 企業の働き手の減少)⇒ 業務の少人化・効率化に対応生産性の向上」という目的もあります。
企業には様々なITニーズがあるため、しばらくの間、IT需要は継続的に増加していくことが見込めます。

■ これから

いま最も注目されるのは
「コロナの終息後、世の中はどう変化するか」
ココが最大のポイントです。
世の中全体では「消費の傾向・習慣が変化したこと」が影響度として最も大きなポイントです。
それがコロナ以前のレベルに戻るには、数年程度の期間がかかると思います。
(そのまま「当たり前のレベル→定着」もある)
消費の傾向は、すべての産業に影響します。

いま現在は、自分が生きてきた50年でも経験したことが無い「広範囲で複雑な変化」が起こっており、「時代の大きな変わり目」と言ってよいと思います。
企業の継続には「環境変化への適応」は必須です。
そのためには「需要と市場の変化を予測し、ビジネスに活かす〔機会の獲得、脅威の回避〕」が原理原則であり、これからも絶対に必要です。

▶ 株式会社シーアークス

No.212  「0を1にする」 「1を10にする」 事業における展開

事業展開において
「0を1にする」 や 「1を10にする」「10を100にする」 というステップがあります。

それらは、まったく別次元のことを指しており、
それらを区別できるかは「事業が上手くいくかどうか」の分かれ目です。

■「0を1にする」とは、 「1を10にする」 「10を100にする」 とは

3つのステップとポイントには、次の違いがあります。


■ 事業展開において

〔0→1〕アイデアから事業の芽を創る
〔1→10〕事業の 「型」 を創る
〔10→100〕「型」をビジネスモデルに発展させ、より拡大・効率化する

「〔0→1〕アイデアから事業の芽を創る」のが最も難易度が高いステップ です。日頃から広範囲の視点・角度で様々な情報をキャッチしている必要があります。
対象となる事業の市場性(市場規模、成長段階、成長性)の見極めが必要です。
また、自社が条件を備えているか、競争できるのか、不足しているなら、条件を獲得するには何が必要か、を考える必要もあります。


■ ステップ別の検討課題・ポイント

〔0→1〕アイデアから、どのやり方が良いか、検証や見極めをする
〔1→10〕他者でも再現できるようにする
〔10→100〕より効率的にできるよう、やり方をブラッシュアップする

本来、新事業は「 ハイリスク × ハイリターン 」です。
狙い目のピントが合っていて、やり方が正しければ、大きな利益を得る可能性は上がります。しかしながら、間違えれば大損失になります。一番マズいケースは「よく考えずに新事業を始め(安易な考えのまま)盲目的に進める」ことです。新事業への取組み例で、このケースはよく見かけます。高確率でほぼ失敗しています。そういう意味でも、検証・見極めが大事です。


■ 暗黙知 or 形式知

〔0→1〕暗黙知の特定(何が暗黙知なのか)
〔1→10〕暗黙知を形式知に変える(可視化、定義)
〔10→100〕形式知のブラッシュアップ・進化

暗黙知:個人の固有の知識。モノの見方、ノウハウ、問題意識など。目に見えない形であり、他者と共有されていない。
形式知:言葉や図解・数式で説明ができる知識

暗黙知→形式知に変える ことは、先の展開を明るくします。
もし、形式知にできないようなら、事業そのものが具体化されません。


■ ステップ別のゴール

〔0→1〕型をつくるかどうか 決める
〔1→10〕型を完成させる(再現性の確立)
〔10→100〕型をレベルアップ、拡大・効率化させる (組織で対応)

ステップごとのゴールが異なります。型をつくることは成功条件です。
どんな事業にも「成功の型=ビジネスモデル」があります。


■ 誰が導くのか

〔0→1〕起業する人
〔1→10〕事業をやる人
〔10→100〕経営する人

「新しいコトを始められる人」は、会社の中でも稀な存在です。
最初の時点では、その人の周囲には一人も味方がいません。
「始める→続ける」条件は〔強い精神力があること〕です。
その後のステップでも、必要なポイントではありますが、特に〔0→1〕のステップでは絶対的な条件です。


■ 誰の力が必要か

〔0→1〕天才(発想力がある人、モノゴトを追求できる人)
〔1→10〕秀才(努力を続けられる人)
〔10→100〕凡人(会社を理解・行動できる多くの人)

通常の会社には、天才はいません。秀才はいたりします。
事業展開で “天才が絶対に必要” という訳ではありません。
問題となるのは「他者とは異なる意見を持つ人、そのアイデアが 会社に許容されない」 ということです。各社は「個人の発想・アイデアを拾い上げ、どう活かすか」を考えるべきです。それができれば、後のステップに事業を展開していけます。
〔1→10〕のステップで大事な事は「続けること」です。「続けられる人」が最重要の存在です。


■ まとめ

全体をまとめていくと、以下となります。


〔0→1〕のステージ

■ アイデアから、どのやり方が良いか、検証や見極めをし、事業の芽を創る
■ 天才や起業家が活躍する
■ 暗黙知を特定する
■ 再現性のため「型をつくるかどうか」を決める


〔1→10〕のステージ

■ 事業の型を作り、他者にも再現できるようにする
■ 秀才や事業家が活躍する
■ 暗黙知を形式知に変える
■ 型を完成する(再現性を確立する)


〔10→100〕のステージ

■ 型を事業モデルに発展させる
■ 凡人が活躍し、経営者が統率する
■ 形式知のブラッシュアップ・進化をはかる
■ 組織で対応し、より拡大・効率化する


現在では、既存事業の収益力低下の理由から、
会社全体の見直しをはかり「新事業で新たな収益の柱をつくりたい」と考える会社が増えています。

どんな事業にも、成功の要素・条件 があります。そこを見極めることと、人が「どういう考え方で、どんな関わり方をするのか」が大きなポイントです。
「0を1にする」「1を10にする」「10を100にする」  成功のステップをつくることが大事です。

▶ 株式会社シーアークス

No.211 会社の情報データを活かすにはどうするか

■ 会社の仕事における情報データ活用の現状

「探す、確認する」
「データ入力する」「計算する」「転記する」
「情報・データをまとめる」
「評価/判断する」
「仕事の状況を把握する」(進捗・期限)

これらは、日常業務の中で、よくある作業です。

管理システムなど仕組みが充実している会社では
「最適な方法が具現化」され、業務・作業は効率化しています。

しかし、その一方でシステム化が充分にされていない会社では、
業務・作業のほとんどをマンパワーに頼ることが多いのが現実です。

システム化がある程度、進んでいる会社であっても、
本当の意味で「情報データを上手く活用できている会社」は、それほど多くはありません。

■ その実態はどうなのか?

では、実態としてはどういう状況なのか?
コンサルタントとして、様々な会社をみてきた経験から問題点をまとめてみました。


● 情報データの活用範囲が狭い

財務や業務管理の基幹システムはあるが、規定の範囲のみデータ化・活用しているだけ。
実際は、システム範囲外・管理外の仕事は無数にあり、その情報管理は、担当者個々のやり方・技量に委ねられている。
例)「作業A」をやるとき、「資料・基準B」を確認・判断し、「結果C」としてまとめる(記録する)など
情報データの活用範囲は狭く、限定的になっている状況。


● 特定の個人だけが情報データを持っている=共有されていない

様々な管理がされ、多くの情報・データは存在するが、それら個別情報・データは収集・連結・活用されている訳では無い。
特定の個人しか認識できておらず、実質は情報・データが眠っている状態。


● 会社全体・職場でデータ収集・活用する発想が無い

・業務効率を上げるという目的・目標が明確に定められておらず、実際のアクションにはつながっていない。
・よく考えれば、データ収集・活用の意義や必要性はあるのだが、それに気づくのは問題発生の機会に遭遇した場合のみ。


■ 情報データを活用していくには

下記に、情報データを上手く使えている状態を示しました。

これらを機能させる大事なポイントは、

(1) 情報データ管理の実態をつかむこと
(2) 情報データ活用の目的と活用範囲を再定義すること
(3) 情報データ活用方法を検討・具体化すること

です。

情報は会社の資産であり、情報管理・活用を上手くやることで、改善や効率化の土台も強くなります。

「情報データを活用すること=会社を強くすること」

です。


▶ 情報データ活用サポート

▶ 株式会社シーアークス HP

No.210 企業規模とあるべき姿

コンサルとして20年ほど活動し、様々な業種・業態の会社の仕事をしました。
規模では、主には中小企業ですが、大企業・中堅企業も合わせて、現在までに100社以上の会社を見てきています。その経験則から、会社の傾向的な特徴は捉えることができていると思います。
業種・業態の違いはもちろんですが、企業規模でも会社の様子はだいぶ異なります。

一般的な認識では、


大企業・中堅企業は
● 人材の質・量ともに揃っている
● 業務がシステム化・効率化されている
● 仕事のほとんどが形式化されており、誰でも一定の成果が出せる
● 様々な改善・効率化を進めるための予算をかけられる


中小企業は
● 人材の質・量で劣る
● 業務のシステム化・効率化が遅れている
● 仕事の多くが暗黙知で、個人頼み・マンパワーに委ねることが多い
● 改善・効率化はしたいが予算が十分ではない


だと思います。

確率的には”一般的な認識”であることが多いですが、
中小企業でも優秀な人材が揃っていたり、システム化が上手くできている会社もあります。
大企業・中堅企業でも、人材層にバラツキがあり、業務の多くに問題を抱えている会社もあります。

コンサル経験から結論づけていることがあります。
それは、会社における “あるべき姿” の考え方が、その姿に現れる ということです。

”会社において、何を大事にしていて、どんな価値提供を持って、どんな成果を目指すのか”

その考え方で会社の様子は大きく変わります。
顧客からの見られ方も変わります。
業績の捉え方・つくり方も変わります。
社員の働き方も変わります。
プロセスが変われば、最終的な成果も変わります。

企業規模の大小の差があれば、そもそもの影響力・効率性の違いがあり、最終的な結果にも違いがでるのは間違いありません。
ただ、大企業・中堅企業も最初は中小企業だったはずです。
規模拡大・成長発展できたのは、 ”どんな会社になりたいか” が明確にあったためであり、企業規模はその結果 だと考えています。


現在はコロナ渦です。世の中が大きく変わり、経営環境も激変の状況です。

コロナが契機となり、これまでに各企業が積み上げてきたモノが崩れ去り、
”会社の在り方そのものがリセットされたような状態” だと捉えています。
大規模・中堅規模であった企業も、サイズダウンを余儀なくされる可能性もあります。

今後の会社の生存のためには、真の価値、業績のつくり方、組織・人材 など、あらためて 会社の在り方を一から考えていく必要がある と考えています。

今一度、原点に立ち返り、会社の あるべき姿 を定めていくことをお勧めします。


▶ あるべき姿の再考

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【番外編】 コロナと株と経済

※今回は、少額投資家の独り言であり、現状の記録です。

昨今の日本経済の規模拡大は、株式市場の成長に支えられてきました。

最近では、iDeCo・NISAなど個人年金商品の取扱増加に見られるように、個人の投資機会も増え、株式市場はより活況となっていました。
年明けの2020年1月の日経平均株価は、2万4千円台でした。2020年は東京五輪が予定されていたため、年始時点では、2万6千円付近まで伸びるかな、淡い期待がありました。

しかしながら、、、コロナ感染拡大が状況を一変させました。
2月中旬、日経平均株価が1万6千円台まで急落しました。
景気の先行き不透明感が一気に増し、株式市場が過剰に反応したためです。
その急落のレベルが凄まじかったため、自身の保有する銘柄でも損失ダメージを喰らいました。下落スピードが早過ぎて、対処が遅れたためです。
そのときの気持ちを思い出すと、、、
「落ちるー!! 助けてー」です。

今回の株価急落時、ノーダメージで回避できた人っているのだろうか、まあ、いるとは思いますが。

その後ゆるやかに回復?したものの、4/21に原油先物が史上初・マイナス価格に転じた影響で、4/22には再度1万9千円を割り込みました。今回はどこまで落ちるのだろうか?


ちなみに、リーマンショックのときはどうだったかというと、
〔日経225〕
2007年2月 18,300円 → 2008年10月 6,994円(最安値)
※下落率▲62%
と、1年半で半分以下に下落していきました。下落率は凄まじいレベルです。
ただリーマン時は、2007年時点でサブプライムローンの焦げ付きリスクは捉えられ、その先の市場悪化も予測されていました。投資面では、早期に売りで、最小限のダメージで対処できた人は意外に多かったのでは、と思います。

リーマンショック直後の企業はどうだったかというと、メーカーの業績低下が顕著となり、通常稼働の50%以下がほとんどで悲惨な状況となりました。
一般消費の場面では、ゆるやかに景気悪化を感じたくらいであまり実感値は無かったのでは、と思います。


今回のコロナショックでは、その経緯と世間の反応がまったく異なります。
1月初めから、中国人観光客の減少が始まり、下旬にはまったくいなくなっていました。
2月中旬、株価が下落傾向に入った頃から、世間のザワザワのレベルが増してきた感じです。
現在では、外出自粛、施設運営休止、飲食業・サービス業の営業自粛などを目の当たりにし、一般の人でも景気悪化と先行き不透明感を強く感じています。
リーマン時は、企業業績は下降したものの経済や購買活動は動いていました。
ただ今回のコロナショックでは、企業業績の低下と合わせて、経済や購買活動に抑制が掛かっています。

しかしながら、日経平均株価で比較すると、リーマンショック時ほど下落していません。これからは分かりませんが、、、
その理由は、現在ではリーマン時と比較にならない位、株式の総数・総額が増えており、株価変動の影響が多方面に渡り、大きく出てしまうことが予測されるため「政府や日銀の資金投入で買い支え=補填している」からです。現在の日銀の投入額は1日当り1000億超だとか。
大企業では「いつのまにか日銀が大株主」なんてことが起こっています。ただ資金投入にも限界があります。これから企業救済策、雇用維持策など新たな予算を立て実行していかなければなりません。そことのバランスが保てなくなると、一気に限界を迎えます。
そうなったときにどうなるか、誰にも予測できません。というか、恐ろし過ぎて予測したくない、が本音です。

コロナ対策への政府方針が明らかになり、実行段階へと移る過程で「株価下落はとりあえずは収まった」という状況にはあります。
ただ、感染拡大の抑え込みが遅れるようなら、また株価は下落方向へ進む可能性はあり、予断は許されない状況です。

コロナ、早く終息してくれ!
※もう独り言レベルではないですね。。。

参考)
中国・日本の感染拡大は、2月時点で世界的にクローズアップされました。その後は、他国に急速に感染拡大しています。
現時点(4/22)の感染者数は、日本・1万人超、アメリカ・80万人超、他国でも数万~20万人レベルで、すべての国で増加傾向にあります。
感染者数の増加スピードで見ると、日本は他国よりも抑えててまだマシな方、と言えるか。。。減少傾向に入らないと意味は無いが。

〔参考データ/日本〕
□ インフルエンザ(2019年)
感染者数 約1000万人
死亡者数 3000人(死亡率0.03%)
□ 新型コロナウイルス(4/22現在)
感染者数 11,350人
死亡者数 277人(死亡率2.44%)
感染者数では例年のインフルエンザと比べると、かなり少ないですが、、、
死亡率では、、、ヤバいですね。。。

No.209 生産性向上のはなし

コロナの影響はまだまだ収まりませんが、その事は一旦置いておきます。

今回は、生産性向上のはなしです。

■ 生産性とは

生産性 とは〔投入(エネルギー・人・材料・設備稼働)〕に対し〔産出(製品・付加価値)〕の効率がどうなのか、を表します。
例えば一つの製品をつくる際に、通常なら3人投入するところを、1人減らして2人投入とし、同じ時間で完成できたなら、それは「生産性が高い」ということになります。また、投入コストが少ないため、利益が増えます。

計算式では、
生産性=産出(アウトプット)/ 投入(インプット)
で示されます。

「生産性が上がる」ということは、「利益・付加価値を生む力が高くなる」ということです。

すべての仕事単位で生産性向上・業務効率化が進めば、次に各企業が狙うのは「少人化」です。
少人化が進めば「一人当り限界利益額」が増加します。
またそれと同時に「固定費総額の削減」が進んでいるはずです。
※ただここは「雇用の維持」の問題と合わせて考える必要があります。

以上の事が、同時に実現できたとき、会社全体の「生産性向上ができた」と言え「利益の増加」につながります。

しかしながら、各企業では、生産性向上が思うように進んでいないという現状があります。
そこには、2つの問題があると考えています。

■ 問題1 IT投資に関わる考え方の問題

〇 日本の生産性向上の現状

先進国において、日本は「生産性低下・一人当り賃金低下」という現況にあります。

〔1人当りGDP〕 単位:USドル
※GDP 国内総生産

1995年
2018年
増減率
日本
43,441
3位
39,304
26位
90.5%
アメリカ
28,671
10位
62,869
9位
219.2%
ドイツ
31,830
6位
47,662
16位
149.7%

〔1人当り賃金〕 単位:USドル

1997年
2015年
増減率
日本
36,249
11位
35,780
17位
98.7%
アメリカ
46,415
3位
58,714
2位
126.5%
ドイツ
39,446
9位
44,925
11位
113.9%

このデータからみると、アメリカ・ドイツと比較し、日本は「生産性向上が停滞、賃金に反映できていない」ということになります。
また先進国における日本の順位が「下降傾向にある」のも気になるところです。

更に、企業の労働分配率の平均データをみていきます。
労働分配率は、限界利益における人件費の割合を示す指標です。
この比率が高ければ「人に委ねる仕事の割合が高い」ということです。
逆に低ければ「人に委ねる仕事の割合が低い = 効率化できている」と言えます。
※ 労働分配率=人件費/限界利益

〔労働分配率〕

2005年
2016年
日本
48.0%
48.4%
アメリカ
53.7%
52.7%
ドイツ
49.4%
50.0%

これをみると、日本は「生産性が低下 × 賃金低下 × 労働分配率上昇」となっており、生産性改善が遅れていると言えます。
それに対して、アメリカは「生産性が大きく上昇 × 労働分配率低下、結果として一人当り賃金額が上昇」しています。注目すべきは、生産性向上と賃金上昇がバランスよく実現できているところです。

〇 他国に見る生産性向上のポイントは何なのか

世界の各企業の経営者に対して行ったアンケートにおいて、興味深いデータがあります。出展/第20回世界CEO意識調査日本分析版

「現在の経営環境を前提に新たな機会を活用するために最も強化したい項目を選んでください」との問いに対して、
「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」を挙げた割合は、
世界のCEOで15%だったの対して、日本のCEOは4%にとどまりました。

「今後12カ月の自社の売上高の成長の見通しについてどれだけの自信を持っていますか」との問いに対して、
「自信がある」と答えたのは、全体平均38%、英41%、米39%、中国35%に対して、日本14%でした。

また、「研究開発費のうちIT分野に投資している割合は何%か」との問いに対しては、
米独は「10%~19%」が最も多かったのに対して、日本は「0~4%」が最も多く、日本企業のIT分野への研究開発投資は低調である、ということがわかります。

その具体的なポイントとして、
(1)IT分野の商品・サービス開発投資・研究開発投資の遅れ
(2)IT分野の人材育成投資の遅れ

が挙げられます。
本来なら、IT投資が上手く進めば「少人化→生産性向上」ができるはずですが、そこへのアクションが不足しているということです。

これらからわかることは、
日本企業の経営者は「技術革新のスピードの早さに強い脅威を感じているにもかかわらず、デジタルおよびテクノロジーに関する能力を強化しようとしていない」という現実です。不確実な将来や急激な技術変革を目の前にして、自社を成長に導く自信がなく、立ちすくんでいる様子がうかがえます。

以上から、日本とアメリカなどと比べて「生産性向上+賃金上昇」がはかれなかった要因として「IT分野への投資の遅れ」が大きく影響しているものと推察できます。

〇 IT投資の目的の捉え方

IT分野への投資が少ないことだけでなく、情報化投資の内容が「コスト削減・人員削減」を指向する「守りの投資」が主流であることも、日本で賃金が上がらない理由です。

日本の情報化投資の特徴は、業務プロセスの効率化を目指したものが全体の半分を占めており、「ビジネスモデルの開発・売り上げ増」を指向する「攻めの投資」は少ないのが現状です。

情報化投資による労働生産性の上昇効果を見れば、新しい製品・サービスの開発や既存の製品・サービスの高付加価化を目指した場合は4倍に上がるのに対して、省力化投資による労働生産性の上昇は1.1倍にとどまります。
「コスト削減・人員削減」から生み出される利益は微々たるものでしかなく、利益率が1%でも改善すればいい方でしょう。

その「投資対リターン」の低さが、「情報化投資はもうからない」という思い込みを経営者にもたらし、ますます経営者は情報化投資に悪いイメージを持つようになるという悪循環、負のスパイラルに陥っています。
こうした「守りの投資」は、働き手のやる気などにも悪影響を及ぼし、結局、生産性が上がらず、そして賃金が上がらない悪循環を作り出しています。
「1人の仕事がより増えて忙しいが、それに反して賃金は増えず、社員の不満は大きくなっている」というのが実態です。

■ 問題2 経営者と社員の関わり方の問題

会社にとって大事なのは、利益の確保です。
ただ、会社の利益確保の考え方を社員に説明するだけで、生産性向上は進むのでしょうか?

答えはNOです。

働く人たちにとって大事なことは、
①働く場所があること
②仕事があること

です。

実は「会社における生産性向上活動」とは「働く人たちの仕事を奪うこと」につながる可能性があります。
会社が強力に生産性向上活動を進めれば、そこに働く人たちの仕事は減少していきます。

ここに、生産性向上が進まないジレンマがあります。

「我が社は生産性向上するぞ」と経営者が声高に叫ぼうとも、社員は納得して、素直に活動には移せません。
何故なら「自らの活動により、自分の仕事が無くなるかもしれない」からです。

活動開始にあたり、経営者が「生産性向上により利益を確保していくことは、皆さんのためでもあります。自分たちの給料は自分たちで確保していきましょう。」と言ったとします。

経営的にはもっともな話なのですが、聞いている社員側は釈然としない感情にとらわれます。
「会社に利益が上がらなければ、給料は上げられないぞ」
という経営者の本音が透けて見えているからです。
これでは、ある意味で脅迫と同じです。

社員側の本音をとらえると
「賃金がそのままなのに、なぜ頑張らなければいけないんだ」
「会社の利益を確保するのは経営者の仕事。自分たちは仕事を頑張るだけ。頑張った結果として、より高い給料がほしい」です。

ここで考えなければいけないことは「単なる生産性向上」という方向づけでは「真の生産性向上」は実現できないということです。

会社側が成果を追うならば、社員側にもその活動により享受できるメリットを提示していかなければ、真の活動は進みません。
社員個々が頑張る理由づけにつながるよう、活動成果のメリットを提示しておくということが大事です。

■ 先々の生産性向上の方向性を考える

これからも労働人口の減少は進み、既存の業務への配置はほぼ不可能となっていきます。

しかしながら「業務はそのままで生産性は上げたい」「頑張って(マンパワーで)生産性を上げていきたい」というのには限界があります。

「先々の会社の業務の姿をどういう形にするか」
「生産性向上の最終到達点をどうするか」

という目的・方向性と到達点を考えていくことで答えが出てきます。

その先に、真の生産性向上・競争力確保の実現が果たせることでしょう。

株式会社シーアークス HP

No.208 コロナ不況とその後の展望①

世はコロナ不況の真っ只中です。まだまだ先は見えません。

特効薬ができるのがいつなのか、
それが終息へ向かう唯一のポイントであることは周知のところです。

このような未知の脅威に遭遇したとき、
なかなかよい答えは見つかりませんが、
「歴史に学び対応していく」というのも一つの選択肢だと考えます。

過去の歴史でも、天然痘・ペストなど、疫病・感染症の流行があり、その拡大が元で一国が滅ぶという最悪なケースもあったようです。
ただ、どんな疫病・感染症であっても、時間経過により、いずれは沈静化・終息します。
そして、その後には「世の中の常識・価値観や前提の変化 → 大きな変革」が起こります。その「変革」は世の中が継続するために、必然的に起こる事です。

■ ビジネスモデルの憂鬱

ビジネスモデルという言葉があります。
ビジネスモデルは、独自の戦略や経営システム構築など、経営でやることの重点を絞り、経営効率を高め、付加価値向上に貢献していきます。
ビジネスモデルの確立ができている企業は「業績を安定的・継続的に上げていくことができる」とされてきました。

しかしながら、、、現在はコロナ不況の影響で市場は大きく変貌しています。需要と供給の急減・消費減速が凄まじいレベルで起こっています。
ここまで広範囲かつ急激な変化が起これば、ビジネスモデルの前提条件も大きく変わり、業績急降下・対応不可に陥ります。
「既存のビジネスモデルは、ほぼ通用しなくなる」ということです。

■ それでも先を見る ~変化へ対応~

ここからは、先を考えていく会社向けの話です。

どの企業においても、危機に直面したときは「その危機を回避すること」が当面の最重点課題です。すべての企業は、今まさにそういう状況で、しばらくはそれが続きます。
ただ、いずれ危機回避できるときは必ずやってきます。
その後の変化に備え、想定とシナリオづくり、実現するための前提条件の確保・準備 はいまからでもやっておくべきです。
※「やっぱり、それどころではない」という会社は「現在のことに集中して対応、危機を乗り越える」でよいです。

コロナ終息後の変化の展望を推測すると、その後の市場も大きく変貌していくことが見込まれます。
これまでの常識や成功条件はほぼ通じず、それに変わる「新しい考え方や定義」が生まれていくことでしょう。

変化のキーワードは、
通信・非対面・非接触・効率・少人化・リスク対応 だと考えています。

これを、企業の取組みのポイントに落とし込むと、
例えば、、、


1.既存先・狙い先の定義の見直しと対応
①ベース売上高の対象と定義の見直し
②重点先のシフト
需要変動に左右されない企業の定義と開拓
(外需型企業→内需型企業、一般需要→政策需要)
③売上構成の変更・シフト
→よりリスクヘッジできるような構成に変える


2.組織・人材体制の大胆な変更
長年の社内課題も同時に解決するレベルで実施
→基本方向は「すべての業務の少人化+省人化」
→変化に強い組織にする


3.業務システムの効率化 ※究極レベル
①すべてのムダ・ムラ・ムリの排除→業務効率の向上
②情報集約・管理の仕組みの見直し・改善
※3は、上記2を実現するための前提条件でもある


というのが、現段階で言えることです。
※この部分はあくまで現段階の想定レベルの話です。
今後、必要に応じて追加・修正していきます。

既に大企業・中堅企業の内、混迷が終息したその先を見据え、様々な角度から対応策を検討している先もあるのでは、と推測します。
その検討ポイントは「現状維持で危機を乗り越える」ではなく「その先も見据えて変革する」だと考えます。

中小企業でも「資金力・対応力の面で不利」という実情はありますが、可能な範囲では対応準備はしていくべきと考えます。

コロナに負けるな! です。

株式会社シーアークス HP

No.207 これからのリーダーの要件と任命

世の中は、コロナ一色ですね。(2020.3.25 現在)
状況の厳しさは続き、現時点で、私にはこの先は見えていません。
とコンサルタントが言うのもどうか、とは思いますが、、、
正直なところ、提案できる有効な策がまだ思い浮かんでいません。

「コロナショックに耐えて、必ず生き残る」
すべての会社が考えていることです。

本件については、有効なアイデア・対策がまとまりましたら、あらためて発信します。


さて、話は大きく変わりますが、
今回のブログはリーダーの話です。

■ 私が真のリーダーだと思う人たち

おそらく、求めるリーダー像は人によってだいぶ異なるとは思いますが、
私がリーダーの手本だと考えている(尊敬している)人は以下です。


〇 藤沢武夫(本田宗一郎を支えた名経営者)
「モノ作りは本田、カネの工面は藤沢」と言われ、陰からホンダの経営危機を救ったこともある。
この人無くしては、現在のホンダは存在していない。
本田宗一郎と同時に経営から退き、当時は「最高の引き際」「爽やか引退」と言われた。


〇 柳井正(ユニクロ現会長)
広島の小さな洋品店の二代目から始め、第二創業で現在のユニクロをつくった。
高度経済成長期ではなく、競争が激しい経営環境下の中で、一代でユニクロの経営システムを築き上げたのはすごい。
いまだに経営の実権を握っているのは、賛否があるとは思われる(後継者問題)


〇 中曽根康弘(日米親和を進めた総理大臣)
アメリカのパートナーとして日本を対等な立場に引き上げ、日米の真の親和を進めた。
当時の米大統領ロナルドレーガンとは「ロン・ヤス」の愛称で呼び合うほどの関係を築いた。
この人の在任時の期間、日本人は自信と自負を持って仕事をしていたと記憶している。
個人的には、歴代総理大臣で最高の人物だと思っている。


〇 フランツ・ベッケンバウアー(サッカー/元ドイツ代表主将)
「リベロ」というポジションを確立し「皇帝」の異名を持つ。ドイツ歴代最高選手の一人。
ドイツを欧州選手権制覇・W杯制覇へ導いた。引退後はサッカー界の要職を歴任。
※詳しくはコチラ 「サッカー選手名鑑②フランツ・ベッケンバウアー」


政治・ビジネス・スポーツと多岐に渡りますが、
「自分が考えるリーダーの本質」では同じモノを持つ人たちだと思っています。

 

■ リーダーとは何なのか

一般論では「リーダーとは人を導く人」です。
会社の研修のときには「リーダーとは、目標達成のために人を導く人」と説明しています。
職場レベルでは「率先して仕事をする人、もしくは、仕事の可否・判断によりスタッフに仕事をさせる人」です。
リーダーの存在有無で、仕事の進み方は大きく変わります。

私の考える真のリーダーとは
「厳しい難局を打開し、新たな道を創る人」です。
それができる人が会社や組織の道筋を良きモノに変えていくと考えています。

※参考)管理職(マネージャー)は「目標達成のために、ヒト・モノ・カネ・情報を活用し、成果を上げる人」です。

■ リーダーに求められる3つの要件

リーダーには「3つの要件」が求められると考えています。
それが、あるか、無いか、でリーダーのモノゴトへのアプローチとパフォーマンスは大きく異なります。


〇リーダーシップ
リーダーシップがあるか、無いか、これはよく問われることです。
上の説明でいくと、リーダーシップとは「目標達成のために人を導くこと」を指します。
「率先して行動し、人を統率すること」が求めれらます。


〇フォロワーシップ
他者に仕事を任せて、すべて上手くいく。
これならばまったく問題無いのですが、なかなかその通りにはいきません。
仕事を完了させるには、必ずリーダーのフォロー・サポートが必要になります。
フォロワーシップは「仕事を任せた人が完了できるよう、リーダーが適切なフォローを行う」ことです。


〇パートナーシップ
現在の仕事は複雑・多岐に渡り、様々な部署が関連して成立しています。
各部署の役割・責任の範囲も明確にされ、部署単位の業務効率も上がっています。
ただその一方で、個々へ役割責任を求め過ぎるあまり、
「自身の役割・責任の範囲までしか仕事をやらない」「部署間の連携レベルが低下する」
という弊害が目立つようになりました。その弊害には「成果主義・個人主義」が大きく影響していると考えています。
パートナーシップは「人の関係性・親和性をつくり、仕事を円滑に進めること」です。
これからも「人のつながりで仕事をする」ということが非常に大事です。
リーダーにもその考え方は必須であり、パートナーシップはあらためて磨き直さければいけないことです。


■ これからのリーダーに求められること

「リーダーシップの重要性」は、どの会社でも教えていることです。
リーダーシップは「組織を統制しリードするという考え方」が主です。
しかし、その考え方・一辺倒では、これからのリーダーはやっていけません。
会社の内外の環境は大きく変わっています。
働き方改革では、残業規制・待遇の是正など、経営に大きなインパクトを与えています。人のマネジメント上で制約が増えています。
更に、管理職・監督職の世代交代(ベビーブーム世代から後進世代)が控えており、業務の継承をより早く進めていくことになります。
会社側が、これまでの型通りのリーダーの任命のやり方では、
会社のマネジメント機能が滞ったり、なりよりも要件不足で任命されたリーダー本人が困ることになるでしょう。
これからは、上記3つの要件で示したとおり、
「フォロワーシップ」「パートナーシップ」の重要度がより増していくと考えています。

■ リーダーの任命が会社の未来への道筋を決める

〇 要件を満たしている人をキチンと選び、リーダーに任命する
〇 要件不足なら、事前準備と教育で補う

2者択一での選択が求められます。

会社に求める人材すべてが揃っていることはあり得ません。
採用・教育・評価で求める人材に変えていく
それが人を活かすための経営努力の真髄です。

上記の措置を計画的に進めることができる会社は、今後も永続できると考えています。

株式会社シーアークス HP
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