今回は「データ経営、その目的と成果を考える」をテーマとします。
パナソニック、ワークマンなどでも「データ経営」の推進がはかられ、業績向上という成果につながっています。
〔ワークマンのデータ経営の例〕
ワークマンのデータ経営では “エクセル活用” と“情報共有” を軸に置いています。
社歴3年以上の社員全員に対し、“エクセルを活用したデータ分析手法” を学習させます。
それを継続した結果・何が起こったか。
“自分たちの考えで店舗の業績向上の狙い目・活動を具体化”させ、1店舗あたりの売上レベルも飛躍的に向上しています。
店舗スタッフにも、スーパーバイザー的な業績の視点を持つ人材が増えました。
全社的に “売上分析手法の進化、仕入商品の適正化、分析ツール作成(エクセルVBA)、社内の成功事例の共有”などが進んでいます。
「データ経営」を起点とし”全員参加型の経営”に会社が転換できたこと は、現在のワークマンの成功要因の一つだと思います。
※〔補足〕一般企業でのエクセルの活用レベルは「本来のエクセルが持つ機能の5%程度」です。(実際は、ほぼ使えていない状態)
エクセルの知識と機能活用のレベルを上げる事で、データ集計・分析など様々な事ができるようになります。
マクロVBAまで使うと、”簡易システム(データベース構築 など)の製作” が可能です。(■ 情報データ活用サポート)
もし “それが自社でできてしまう” なら、外部のシステム会社は 不要 です。
「データ利用」「データ活用」は、どの会社でもやっている事です。
ただ、多くの会社における”データ活用の範囲”は、
(1) 基幹システム・業務システムで取り扱うデータ
(2) 個人のマンパワーで収集するデータ
というケースが多いです。
■ データ経営とは何か
「データ経営」とは、データ活用を更に発展・進化させ、
「多くのスタッフが会社のあらゆるデータに関与し、経営と業績向上に活かす取組み」です。単なる「データ利用」「データ活用」に留まらず、「データ経営」のレベルに会社を進化させることに意味があります。
ここで言う“経営と業績向上に活かす”とは、
① データ加工・分析
② 判断・実行の迅速化
③ 業務改善・効率化
④ 収益力の向上
を指します。
■ データ経営をやる会社の強み
いまのところ、大手企業での成果が目立ちます。
ただ、”大手だからこそ取り組める” “中小レベルでは取り組めない” という訳ではありません。
本来なら、”すべての会社で 「データ経営」に取り組むべき” と考えています。
その理由は “データに強い会社=競争力が高い” という、これまでのコンサル経験での実感値があるからです。
企業規模の大小の差は関係なく “どの会社にも必要な考え方” です。
企業経営で「判断・実行する」のは、様々な場面であります。
その判断基準となるのが、情報や データ です。
「判断・実行のスピードが早い」というのは【大きな強み】です。
反対に、判断スピードを欠いた会社は、実行が遅れます。その遅れは、会社に損失を発生させる【致命的な弱み】です。
また、情報・データを上手く活用できている会社は ”経営システムが常に進化していく” という傾向もあります。
最近、各社が抱える問題に、
「原油価格の高騰」「原材料の高騰」「調達難 × 調達額の上昇」などがあります。
これはコストの問題であり、経営に非常に大きな影響を及ぼしています。
この問題は、しばらくは継続、更に変化する可能性が高いと見ています。
この問題への対処ポイントは、以下です。
①調達方法や生産方法の見直し
②生産調整=計画変更
③販売価格の変更(価格転嫁)
④顧客との調整(価格・納期など)
この問題では「すべての情報を網羅し、正しく判断できるか」が大事であり、その判断の内容が結果を左右します。
外部や顧客など相手がいるため、対応難易度が高い問題ではありますが、
タイミングをはかり適切に判断・対応できれば、“利益の確保”につながります。
もし、判断・対応の遅れ・ミスがあれば、“大きな損失”になります。
問題が発生したときは、”迅速かつ正しく判断・対応” が大原則です。
■ データ経営を進める条件
「データ経営」を進めるには、条件があります。
(1) 会社全体で改善・効率化を目的とし「データを活かす事」が方針に定められている
(2) すべての社員が「データを視る目」「データを活用するための手法」を備えている
(3) データを活かし改善・効率化を促進するために「一定の範囲での役割・責任と権限委譲」がはかられている
“会社の活性化・改善活動にはボトムアップが必要”とよく言われますが、
その際に大事な事は「末端社員から情報を吸い上げたり、様々な活動に積極的に関与させ、会社全体の活性化をはかる事」です。
「データ経営」は、“ボトムアップを現実的に進める方法論”でもあります。
■ データ経営に期待される成果
”データ経営に期待される成果” は以下の通りです。
(1) 暗黙知を形式知に変える(可視化)→「データ活用の仕組み化」の推進
(2) 社員各自のデータ収集・分析レベルの向上 → 業績への反映
(3) データ活用を機会に、社内コミュニケーション・改善活動の活発化
“データを経営レベルで十分に活かすこと” ができれば、
それは確実に ”会社の強み=競争力の源泉となる” と考えています。