前回に引き続き、「組織の成熟度レベル」を高めていく「7つのポイント=視点」の4つ目から解説する。
4.対話による「知」の共有
「ありえない」「無理だ」といった固定観念、先入観はどの組織の中にもある。
組織においてはカタチを維持するための「常識」は必要だが、ときにその「常識」が革新への最大の阻害要因となりうる。
組織の中にこの考え方が蔓延している場合は、現場で知恵を働かせたり、創意工夫ををしたり、建設的なコミュニケーションが生まれなくなる。
「特に問題が起こっていないのだから、新しいことをしない方がよい」ということになる。
ただ革新には、まずこの部分の打破が必要である。
そのためのカギが「対話」である。
「対話」とは「会話」よりも上位の状態であり、お互いのより良くするための考え・アイデアをぶつけ合うことで、会社でより良いモノを生み出すためのコミュニケーションのことを言う。
「対話できる組織」であること、「相互コミュニケーションができる組織」であることが、組織の成熟度を高める前提となる。
その「対話」の過程において「有益な情報を共有」していくことがポイントとなる。
5.スピード
「スピード」について解説する場合、”きこりの話”を例にしてみる。
ある一人のきこりが5時間もの間、木を切り続けている。
そこに旅人が通りかかり、きこりの状況を察し、声をかけた。
「少し休んで、欠けたのこぎりの歯を研いでから切った方が良い(早い)」
きこりはのこぎりの歯が欠けているが、忙しくて研いでいる時間が無いと思いこんで、木を切り続けていた。
きこりにとっては、木を切ることのみが目的となっていた。
きこりの本来の目的からみると、
「効率的に何が優先事項で効果がでるのか」を判断・行動することが大事であり、
「木を効率的に切るためのベストな方策は何か」に目を向けなければいけない。
このような出来事は一般の企業においてもよくある。
「早く、確実に」ではなく、「作業が目的化」してしまっているケースである。
ここで言う「スピード」では、
「単に早く物事を進める」ではなく、
「どのようなことに時間配分すれば、いちばん効果的に物事を進められるか」
ということを重視している。
「スピード」とは、将来の目的のために、今何に時間配分してできるだけ
早く目的を達成するかという戦略的な考え方でもある。
6.パートナーシップ
組織が継続的に発展するためには、ビジネスにおける全ての関係者の協力が必要となる。
取引先を上下関係ではなく、パートナーと位置づけて関係強化をはかる。
パートナーにも自分達と同じ視点・能力を持ってもらい、協力体制を強化することが大事である。
パートナーとの関わりから新たな価値を生み出せる企業は強い。
7.フェアネス
フェアネスの意味は「公正である」ことだ。
フェアネスの考え方は組織風土のベースにもなり、組織としの価値観を示す。
<悪い例>
会社で公正なルールを作っても、経営者側がその都度の判断でルールを逸脱してしまう結論を出し続けた場合、社員はアンフェアであると感じ、ヤル気を失い、貢献度が低下する。
考え方・ルールが意味のないものになる。
柔軟なものは良いが、場当たり的な判断・意思決定をすると組織としてのパフォーマンスは低下する。
ポイントは誰でも理解できる規範をつくり、それをもとに判断・意思決定を行う。
その規範をもとに「目的の明確化」、「価値向上」を実現するための加速度を上げることができる。
「組織の成熟度レベルを高めていく”7つのポイント”」を解説した。
この7つの考え方はあくまで組織を革新させるための基盤である。
何かを変えるときには基盤の整備を怠れば、描いた組織の理想像に近づいていくことはないだろう。