No.5 組織の革新のポイント(その2)


革新が必要とされる組織を対象として調査した面白いデータがある。
これはその組織の人材の分布を示す。

A. 気づいても変化は無理だと思っている人 35%
B. 知識不足で変化は無理だと思っている人 50%
C. 変化への意識が無い人 10%
D. 気づきによってひらめく人 5%

組織を革新させたいと考えた場合に、スタート時点では上記のような人材分布であると考えてよい。
このデータをみてしまうと、組織を革新させるのはなかなか難しいのはないかと考えてしまう。

しかしながら、少なくとも「気づきによってひらめく人」は5%いる。
ここをどう前向きに捉えるかということが、まず大事になってくる。
要するに5%の人間にまずは気づかせ、そのような種類の人材を工夫により、どう増やしていくかを考えていけば良いのである。

組織を革新させる上では、「気づき」というキーワードが重要である。

革新できない組織には、そもそも「気づき」が無い。
現状をありのままにしか見ることができなくなっており、そこからヒントを得て「気づく」習慣が無い。
実際に見えていても、「気づき」を避けてしまっているケースもあるだろう。

組織において、「気づく」ことができる人材がより多く存在すればどのようなことになるか?
組織全体で「気づく」ことができるようになれば、組織が変わるキッカケとなる。
「気づき」によって組織は革新に向かっていくのである。

「気づき」により革新していける組織は「組織の成熟度」が高いと言われる。

「成熟度が高い組織」の特徴は、社員全般の意識・スキルレベル共に高いということは言うまでもない。
また組織として経験と気づきを積み重ね、主体的に有機的に組織連携して成果を出し続けることができる。

逆に「成熟度が低い組織」とは、どのような組織か?

人材の意識・スキルレベル共に低く、気づきも低い組織を指す。このような組織ではチームワークのレベルも低いケースが多い。
問題への対処も後手になることが多く、組織運営上のロスが大きい。
組織に主体的に成果を出す力はなく、ほっておけば衰退に向かうだろう。

組織の革新にはこの「組織の成熟度」が大きく影響する。

組織の成熟度

レベル状態状態(説明)
組織化なし組織ビジョンを実現するために、新たな組織のあり方やオープンな意思決定プロセスが存在していない。
過去の組織編成の考え方に固執しており、経営者にも意志決定プロセスの透明性が重要という認識がない。
組織化初期経営者は、組織ビジョンを実現するために新たな組織のあり方やオープンな意思決定プロセスの必要性を認識している。
新たな組織への変革に挑戦しようとしているが、過去からのしがらみで実現できていない。
透明性の高い意志決定プロセスを目指しているが、経営者と社員とで十分な情報共有が行われていない。
反復可能、直観的経営者は、組織ビジョンを実現するために新たな組織のあり方やオープンな意思決定プロセスの必要性を認識している。
新たな組織への変革を試み、一部、ビジョン実現の組織変革の成果が見られる。
経営者は積極的に意思決定の透明性を確保するための仕組みを導入しているが、十分な情報開示が行われていない。
プロセス定義経営者は、環境変化に対応するために組織変革に積極的に取組み、その意図と変革の重要性について、利害関係者と積極的なコミュニケーションを行っている。
経営者の意思決定を行う際に用いる情報が明確に定義され、その情報は社員に開示しているが、株主など利害関係者に開示されていないものもある。
管理システム化組織変革の必要性を見極める基準や原則が明確になっている。
基準に従って様々な部門から変革の必要性が提案され、組織変革が行われている。
意思決定のプロセスと意志決定に用いる情報は社内外の利害関係者にオープンにされている。
組織変革や意思決定のプロセスについて業界のベストとのベンチマーキングが行われている。
最適化組織変革の必要性を見極める基準や原則が明確になっている。
基準に従って様々な部門から変革の必要性が提案され、組織変革が行われている。
社員は過去の組織に固執するよりも変革することの価値を重視している。
意思決定のプロセスと意志決定に用いる情報は社内外の利害関係者にオープンにされている。
組織変革や意思決定のプロセスについてベスト企業とのベンチマーキングや第三者のガバナンスが行われている。
組織変革の活動や意思決定のプロセスはベストプラクティスと認められて業種業態を超えて模範とされている。

「組織の成熟度」は具体的に7つの視点ではかられる。

その7つの視点とは以下となる。

1.顧客から見たクオリティ
2.リーダーシップ
3.プロセス志向
4.対話による「知」の共有
5.スピード
6.パートナーシップ
7.フェアネス

この視点の具体的な解説は、次回とする。

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