No.5では、「組織の成熟度」について述べた。
「組織の成熟度」のレベルにより、企業は良くも悪くもどの方向にも向かってしまう。
また意志を持って、様々な方策をとろうとしても、成熟していない(そのレベルに達していない)組織では、期待する成果を出すのは困難である。
何故なら組織の前提条件が整っていないからである。
これを解決するために「組織のあるべき姿」を定義し、革新をはかっていくために「組織の成熟度レベル」を指標としていく。
さて、その「組織の成熟度レベル」は何を重視して、高めていけばよいのか?
「組織の成熟度レベル」を高めていくには、7つのポイント=視点がある。
7つの視点とは以下を指す。
1.顧客から見たクオリティ
2.リーダーシップ
3.プロセス志向
4.対話による「知」の共有
5.スピード
6.パートナーシップ
7.フェアネス
今回は、上記の1~3までを解説する。
1.顧客から見たクオリティ
「クオリティ」の語源は、ギリシャ語の「クオリス」であり、”物事の本質や性質”を指す。
いわゆる「クオリティが高い」ということは、”その本質や性質が目的に合致していること”を言う。
クオリティを高めるためには、
”自社の視点で求める価値を定義”するのではなく、
”顧客の視点で求める価値を定義”しなければいけない。
その大前提として、自社にとって「誰が真の顧客なのか」を明らかにしておくことで、
”どこまでクオリティを高めなければいけないか”が明確になる。
2.リーダーシップ
PM理論というリーダーシップ論がある。(PM理論 大阪大学人間科学部 三隅ニ不ニ・教授)
集団における目標達成や課題解決に関するリーダーシップ行動をP(Perfomance)とM(Maintenance)で表す
PとMのリーダーシップ行動を集団や組織の中で発揮すると、その関連で効果が現れると理論づけた。
<PM理論の4つのリーダーシップ・スタイル>
PM型 :目標達成を強調しながら人間関係にも気を配るリーダー
M型 :目標達成よりも、集団内の人間関係に気を配るリーダー
p型 :目標達成に重点を置き、人間関係にはあまり配慮しないリーダー
pm型 :目標達成にも人間関係の調整にも消極的なリーダー
以前は求められるリーダー像と言えば、”支配統制型”の強力なリーダーシップを発揮するタイプだった。
このタイプは、低迷期には効果を発揮する。しかしながら、成長革新期においては”組織の成長を妨げる存在”となってしまう。
最近では、リーダーが”自律支援型および参加型のリーダーシップ”をとって、成功を収める企業が増えてきた。
経営環境が常に複雑に変化する中においては、社員の総合力をより高密度に結集し、最大限の発揮へ導くようなリーダーシップをとることが求められる。
組織の発展・成果レベルは、リーダーのスタイルによって決まると言っても良い。
またリーダーの器以上には組織は発展しないものである。
そのためにはリーダー自身が意識を変え、器を広げていく努力が必要となる。
3.プロセス志向
以前は管理と言えば「業務管理」だった。
その業務を改善していこうとする場合に、「作業」 ⇒ 「動作」へと部分分割して改善するという考え方・手法が一般的だった。
ただ、この方法論では”部分最適の改善”に陥ってしまい、結果として、それがかえって全体最適や整合性を破壊してしまう。
顧客の本来求めている価値を提供するためには、現状の価値提供方法(プロセス)を見直し、顧客の視点で社員が最大限の力を発揮できるシステムの構築とそのプロセスの精度を上げるための”全体最適の思考”が求められる。
組織のパフォーマンスの統合と展開の視点で、業務と業務のつながりを重視し、組織や部門の枠を横断する”プロセスの全体最適”を追求していくことが必要とされる。
プロセス志向の視点では、目的達成に向けて「組織の独自の能力」にも注目する。
自社の能力を最大限に活かして、「他社が実現できない独自の価値を生み出す流れを構築する」ことを重視している。
7つの視点の内の、4~7については次回に解説とする。