No.3 経営革新ができる会社とできない会社


生き残りを目指し、経営革新を果たしたいと願っている会社は世の中に多くある。

経営革新を果たせれば、厳しい環境変化へも対応できるように会社を変化させていくことができる。

前回、経営革新の定義を「企業のあるべき姿を明らかにし、現状とのギャップを捉え、新たな原理原則を確立すること」とした。
まず定義することが大事で、自社がいかなる状態にあるかを知るところから始めないといけない。

ただそれを知ったとしても、革新できる組織とできない組織で確実に分かれる。
革新できない組織の方が圧倒的に多いとも言える。

では「なぜ組織は革新できないのか」という原因となる障害を知る必要がある。

その原因を考えると、組織風土に大きく起因する。
組織風土の在り方が組織が革新していく上での障害になっているケースがほとんどである。

変われない組織の組織風土の特徴をみていくと、

1.標準化にこだわり過ぎている

ISO9001などで会社の業務全般の標準化を進めている会社は多い。
標準書・手順書により、間違いがない確実な業務手順として定めることができる。
しかしながら、イレギュラー対応には弱く、社員が創造力を働かせ、「考えて仕事をする力を低下させる」といったデメリットも見受けられる。

2.仕組みが構造的に固定化してしまい、変えることができなくなっている

システムなどを活用し、業務プロセスを固めていくことは効率化などにも大きく寄与する。
しかしすべてがシステムありきの仕事となり、必要に応じて業務プロセスを変えることにパワーが必要になる。
基幹システムとして、時代遅れのオフコンを使い続けているなんて会社の例もよくある。
要は変えたいのが本音だが、変えられないというのが現実だったりする。

3.仕事のみの必要最低限のコミュニケーションしかかわされなくなっている

今の仕事は対応スピードが生命線になっていることが多い。またコスト・利益重視で必要最低限の人員で業務を遂行していたりもする。
よって従業員個々は自身の責任範囲の仕事のみのために1日の時間のほとんどを割く傾向が更に強くなっている。
結果として気持ちに余裕が無くなり、従業員相互では必要最低限のコミュニケーションしかとらなくなる。
日々の機会そのものが減少すれば、結果的には組織全体のアイデアを創出する力も低減していく。

4.社内基準のみの判断の傾向が強くなり、顧客視点が低下している

自身の仕事が確実に遂行されること、自身の立場がどうなのか、という考えの人が多くなると、会社全体が社内優先の判断のモノサシとなっていく。
判断基準=社内優先だと、本来は顧客基準で決定しなければいけないことも、社内業務などを基準として決めてしまうケースが多くなる。
「顧客満足」はほぼ実現できず、顧客サービスとはかけ離れた仕事をする会社へと変貌していく。

これはあくまで現象面での組織風土のマイナスの特徴である。
その問題の本質を更に探っていくと、組織に在籍するトップ・幹部・社員の考え方の癖により、無意識に変化を避けてしまっていることに起因する。

その具体的なポイントは

1.今までと変わったことをやると、結果的に自身の存在価値が否定される。

2.どのように変わっていくのかモデルが無く、不安で行動できない。(変えられない)

3.暗黙のルールが組織内に充満し、変えることがタブーになっている。

結果として「今のままで変わらなくてもいいじゃないか」ということになってしまい、革新が進んでいかない。
組織風土とは良くも悪くもトップ・幹部・社員の考え方の集合体である。

経営革新はこの部分まで切り込んで改革を進める必要がある。

これに対して、組織風土がオープンかつ柔軟な組織は次々と新しい発想のもと変化をとげ、市場の中で優位性を発揮している。

組織の革新には、まず「組織風土の革新」が必要となってくるであろう。

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