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No.216 DXとは何か? その意味と目的 DXを進める上で考える事

最近、よく「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にします。

各社では「同業ライバル他社が、かなりの予算をかけてDXに取り組んでいるらしい。遅れをとらないよう当社もDXをやらなければ。」

中にはよく理解もせず「他がやっているから」という理由だけで取り組んでいる会社もあるようです。
こうなると「DX」という言葉が独り歩きし、乱発されているような感じでもあります。

弊社が属するコンサル業界は、昔から流行りに乗っかる傾向があります。
(本音は、安易な選択、と思っています)
現在では「DXコンサル会社」だらけです。
「DX推進計画をつくりましょう。しかし、実際のDXの実現は、、、」という会社が多いのが実際のところではないか、と見ています。
「DX風のコンサル会社、にわかDXコンサル会社」が増えているのが実情で、果たしてまともにやれている先はどれだけあるのか、、、怪しいところです。

もし、どこかの会社から「DXコンサル」のテーマで提案されたなら「具体性と実現性、実質的な成果」を確認することをオススメします。

弊社にも「DXらしき仕事」はありますが、「DXコンサル」という表現は使っていません。
「企業経営における現実的な問題・課題を解決する。コンサルはそのテーマに集中するべき」
と考えているからです。

ということで、今回は「DXとは何か? その意味と目的 DXを進める上で考える事」をテーマとします。
(自身の頭の整理、独り言の長文です。ご容赦ください。)

■ DX=デジタルトランスフォーメーションとは

DX〔Digital Transformation(デジタルトランスフォーション)〕について、
よく使われている定義は「データとデジタル技術を活用し、ビジネスにおける激しい変化への対応、業務や企業文化の変革、競争の優位性を持つこと」です。

この魅力的な言葉を企業側が単純に捉えてしまうと、
「DXをやったら、会社に大きな変革を起こせるかもしれない」と考えてしまいがちです。

実はDXという言葉には絶対的な定義は無く、ビジネスにおいては、サービスを提供する側の都合で、あえてアイマイな表現で使用していることが多いようです。
「DXは世のトレンドであり、現時点で売る側にとって最も都合のよいキーワード」だからです。

DXを、より分かりやすい言葉で表現すると、
「デジタル技術を活用し、ビジネスや一般生活そのものを、より良いものに変化させること」となります。

■ 真のDXとは何か


DXの推進ステージは、3つに分けられます。
(1) デジタイゼーション
(2) デジタライゼーション
(3) デジタルトランスフォーション

簡単に説明すると、
(1) デジタイゼーション
アナログあるいは物理的なデータをデジタル化すること(例:紙文書の電子化)
(2) デジタライゼーション
個別の業務およびプロセスのデジタル化をはかること
(3) デジタルトランスフォーメーション
全社的な業務およびプロセスのデジタル化をはかること
顧客起点の価値創造に向けた事業・ビジネスモデルの変革を実現すること

デジタルトランスフォーメーション がDXの最終ステージです。

更に「DX フレームワーク」を示します。
※出展:経済産業省「DXレポート」

“(1)~(3)の言葉の意味の違い” を知るだけでも、だいぶ理解度は変わります。
また、フレームワークから “自社はどの段階・状況にあるのか” を知ることができます。

フレームワークで見ると、弊社の「DXらしき仕事」の範囲は、
「デジタイゼーション~デジタライゼーションにおける、業務/製造プロセスの電子化、そのサポート」が該当します。実績も増えてきています。
★ データ経営サポート
★ 情報データ活用サポート
※PRです。

一方で、デジタルトランスフォーメーション、いわゆる”真のDX”への対応はどうか、と言うと、弊社にとっては、サポートの難易度が高い領域です。

実際のところ “デジタルトランスフォーメーションの領域の実現化サポートができる会社は少ない” と考えています。※探せば、あるかもしれません。
「プラットフォームのデジタル化」や「DXを進める体制の整備」をサポートする会社は増えています。

■ DXが注目される背景

DXの必要性が高まった最も大きな要因として、
「コロナウイルスの感染拡大」が挙げられます。
国内のみならず海外も含め、働き方が大きく変化しました。
例えばテレワークの導入、あるいはWeb会議システムを用いた商談・打合せ等のオンライン化は、その最たるものです。
いまでは、企業のデジタル化は「環境変化に対応する手段」となっています。

もう一つの要因は「2025年の崖」にある、と言われています。
「2025年の崖」
は、“2025年以降に最大12兆円もの経済損失が生じる”とされる大きな問題です。
何が原因でそんなことが起こるのか。

各企業において、
(1) 複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システム(レガシーシステム=旧時代のシステム)が競争への遅れを発生させる

(2) 既存のIT人材の引退やシステムサポート終了によりシステム関連リスクが増大する

まとめると「旧時代のシステムが原因で、企業のビジネスでの競争力が無くなり、業績が低下する。それが2025年以降に各企業で立て続けに起こる」ということです。
これは、企業にとって「死活問題」であり、このリスクを回避する努力が求められます。

■ 日本企業の実態

DXの取り組みについて、日本は米国に比べると出遅れています。企業におけるDXへの取り組み度合いは、日本と米国で以下の通りです。

〔DXに取り組んでいる企業〕
日本 約56%(取り組んでいない 33.9%)
米国 約79%(取り組んでいない 14.1%)
※出展:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021」

日本でDXが進まない原因として挙げられるのが、
(1) 既存システムが複雑化している
(2) 部署ごとでシステムが管理・構築されている(全社統一されていない)
(3) 社内に共有されていないデータが多い(ブラックボックス化が常態化)
などです。

DXを推進するには、上記の問題解決が必要です。
それを進めるには「社内体制や業務そのものの見直し」が求められる場合もあります。

弊社の仕事で「アナログ情報がデジタル化できていない、完全に個別管理の状態」というケースに遭遇することがあります。

これは、中小企業ではよく見られるケースであり、
「情報をデジタル化・統合できていない」という現実的な問題です。DX推進が進まない最大の原因です。

こういう場合は、以下が弊社の仕事のポイントです。
(1)暗黙知の把握 ※特定の人しか分からない情報・知識・ノウハウ
(2)情報データの形式知化(定義)
(3)アナログ情報のデジタル化

そこそこ大変な作業です。

■ DXを進める上で、コンサル会社を選ぶ際のポイント

企業はDXに取り組みたい。
しかしながら、どんな基準でコンサル会社(サポートする会社)を選んでよいか分からない。

そのような場合は、
(1) コンサルティングの特徴 を正確に捉え、
(2) 実績 を見ていくべきと考えます。

(1) コンサルティングの特徴
いま現在、DXコンサルをやる会社は、大きく3タイプに分かれています。
①戦略立案型 ②システム開発型 ③サービス・プロダクト型


① 戦略立案型
DX戦略・計画をつくるのをメインとしているのが特徴です。
多くのコンサル会社は「戦略立案型」です。
コンサル会社のコンサルタントは、戦略・計画をつくるのは上手です。
ただ「戦略・計画はつくれたが、その後は???」となることもあります。
「戦略・計画はつくるが、実現化はできない or 実現化のサポートの範囲が狭い」という会社は除外した方がよいでしょう。


② システム開発型
システム開発をメインとしている会社です。
DXは実現化に意味があるため、システム開発型 の会社がDXの本来の主役です。
戦略・計画、実現したい事が明確なら「システム開発型の会社」を選んだ方がよいです。
※逆に”実現したい事が明確ではない”なら、高確率で失敗します。時間のムダです。
システム開発型の会社は、Aタイプ・Bタイプに分かれます。
A 独自のパッケージシステムをベースとし、カスタマイズして開発・提供する
B 会社の業種・業態に合わせ、一からオリジナルシステムを開発・提供する
実力と実績に加え、対応力がある相手を選ぶことがポイントです。


③ サービス・プロダクト型
製品/サービスのデジタル化、アプリなど効率化ツールの提供、などのサポートをメインとする会社です。
一般ユーザーを多く抱えており、製品サービスのデジタル化を進めたい会社が利用しています。


(2) 実績
相手を選択する上で、一番大事なのは「実績」です。
実績を正しく見せられる会社は、そもそも実力があります。
経験則から、そういう会社は、仕事も誠実に進めます。


■ まとめ

色々と書きましたが、言いたい事は「DXをやるなら、十分に理解した上で進めるべき」ということです。
また「DXをやらなければいけない、でもサポートする会社を選べない、結果として進められない」これでは、問題解決は進みません。
”DXでやるべきことを明確にし、正しい相手を選択すること” が大事です。

弊社は”DXコンサル”とは言いませんが、企業変革サポートのテーマを主とし、努力を続けていきたい と考えています。

■ 株式会社シーアークス
■ データ経営サポート

No.209 生産性向上のはなし

コロナの影響はまだまだ収まりませんが、その事は一旦置いておきます。

今回は、生産性向上のはなしです。

■ 生産性とは

生産性 とは〔投入(エネルギー・人・材料・設備稼働)〕に対し〔産出(製品・付加価値)〕の効率がどうなのか、を表します。
例えば一つの製品をつくる際に、通常なら3人投入するところを、1人減らして2人投入とし、同じ時間で完成できたなら、それは「生産性が高い」ということになります。また、投入コストが少ないため、利益が増えます。

計算式では、
生産性=産出(アウトプット)/ 投入(インプット)
で示されます。

「生産性が上がる」ということは、「利益・付加価値を生む力が高くなる」ということです。

すべての仕事単位で生産性向上・業務効率化が進めば、次に各企業が狙うのは「少人化」です。
少人化が進めば「一人当り限界利益額」が増加します。
またそれと同時に「固定費総額の削減」が進んでいるはずです。
※ただここは「雇用の維持」の問題と合わせて考える必要があります。

以上の事が、同時に実現できたとき、会社全体の「生産性向上ができた」と言え「利益の増加」につながります。

しかしながら、各企業では、生産性向上が思うように進んでいないという現状があります。
そこには、2つの問題があると考えています。

■ 問題1 IT投資に関わる考え方の問題

〇 日本の生産性向上の現状

先進国において、日本は「生産性低下・一人当り賃金低下」という現況にあります。

〔1人当りGDP〕 単位:USドル
※GDP 国内総生産

1995年
2018年
増減率
日本
43,441
3位
39,304
26位
90.5%
アメリカ
28,671
10位
62,869
9位
219.2%
ドイツ
31,830
6位
47,662
16位
149.7%

〔1人当り賃金〕 単位:USドル

1997年
2015年
増減率
日本
36,249
11位
35,780
17位
98.7%
アメリカ
46,415
3位
58,714
2位
126.5%
ドイツ
39,446
9位
44,925
11位
113.9%

このデータからみると、アメリカ・ドイツと比較し、日本は「生産性向上が停滞、賃金に反映できていない」ということになります。
また先進国における日本の順位が「下降傾向にある」のも気になるところです。

更に、企業の労働分配率の平均データをみていきます。
労働分配率は、限界利益における人件費の割合を示す指標です。
この比率が高ければ「人に委ねる仕事の割合が高い」ということです。
逆に低ければ「人に委ねる仕事の割合が低い = 効率化できている」と言えます。
※ 労働分配率=人件費/限界利益

〔労働分配率〕

2005年
2016年
日本
48.0%
48.4%
アメリカ
53.7%
52.7%
ドイツ
49.4%
50.0%

これをみると、日本は「生産性が低下 × 賃金低下 × 労働分配率上昇」となっており、生産性改善が遅れていると言えます。
それに対して、アメリカは「生産性が大きく上昇 × 労働分配率低下、結果として一人当り賃金額が上昇」しています。注目すべきは、生産性向上と賃金上昇がバランスよく実現できているところです。

〇 他国に見る生産性向上のポイントは何なのか

世界の各企業の経営者に対して行ったアンケートにおいて、興味深いデータがあります。出展/第20回世界CEO意識調査日本分析版

「現在の経営環境を前提に新たな機会を活用するために最も強化したい項目を選んでください」との問いに対して、
「デジタルおよびテクノロジーに関する能力」を挙げた割合は、
世界のCEOで15%だったの対して、日本のCEOは4%にとどまりました。

「今後12カ月の自社の売上高の成長の見通しについてどれだけの自信を持っていますか」との問いに対して、
「自信がある」と答えたのは、全体平均38%、英41%、米39%、中国35%に対して、日本14%でした。

また、「研究開発費のうちIT分野に投資している割合は何%か」との問いに対しては、
米独は「10%~19%」が最も多かったのに対して、日本は「0~4%」が最も多く、日本企業のIT分野への研究開発投資は低調である、ということがわかります。

その具体的なポイントとして、
(1)IT分野の商品・サービス開発投資・研究開発投資の遅れ
(2)IT分野の人材育成投資の遅れ

が挙げられます。
本来なら、IT投資が上手く進めば「少人化→生産性向上」ができるはずですが、そこへのアクションが不足しているということです。

これらからわかることは、
日本企業の経営者は「技術革新のスピードの早さに強い脅威を感じているにもかかわらず、デジタルおよびテクノロジーに関する能力を強化しようとしていない」という現実です。不確実な将来や急激な技術変革を目の前にして、自社を成長に導く自信がなく、立ちすくんでいる様子がうかがえます。

以上から、日本とアメリカなどと比べて「生産性向上+賃金上昇」がはかれなかった要因として「IT分野への投資の遅れ」が大きく影響しているものと推察できます。

〇 IT投資の目的の捉え方

IT分野への投資が少ないことだけでなく、情報化投資の内容が「コスト削減・人員削減」を指向する「守りの投資」が主流であることも、日本で賃金が上がらない理由です。

日本の情報化投資の特徴は、業務プロセスの効率化を目指したものが全体の半分を占めており、「ビジネスモデルの開発・売り上げ増」を指向する「攻めの投資」は少ないのが現状です。

情報化投資による労働生産性の上昇効果を見れば、新しい製品・サービスの開発や既存の製品・サービスの高付加価化を目指した場合は4倍に上がるのに対して、省力化投資による労働生産性の上昇は1.1倍にとどまります。
「コスト削減・人員削減」から生み出される利益は微々たるものでしかなく、利益率が1%でも改善すればいい方でしょう。

その「投資対リターン」の低さが、「情報化投資はもうからない」という思い込みを経営者にもたらし、ますます経営者は情報化投資に悪いイメージを持つようになるという悪循環、負のスパイラルに陥っています。
こうした「守りの投資」は、働き手のやる気などにも悪影響を及ぼし、結局、生産性が上がらず、そして賃金が上がらない悪循環を作り出しています。
「1人の仕事がより増えて忙しいが、それに反して賃金は増えず、社員の不満は大きくなっている」というのが実態です。

■ 問題2 経営者と社員の関わり方の問題

会社にとって大事なのは、利益の確保です。
ただ、会社の利益確保の考え方を社員に説明するだけで、生産性向上は進むのでしょうか?

答えはNOです。

働く人たちにとって大事なことは、
①働く場所があること
②仕事があること

です。

実は「会社における生産性向上活動」とは「働く人たちの仕事を奪うこと」につながる可能性があります。
会社が強力に生産性向上活動を進めれば、そこに働く人たちの仕事は減少していきます。

ここに、生産性向上が進まないジレンマがあります。

「我が社は生産性向上するぞ」と経営者が声高に叫ぼうとも、社員は納得して、素直に活動には移せません。
何故なら「自らの活動により、自分の仕事が無くなるかもしれない」からです。

活動開始にあたり、経営者が「生産性向上により利益を確保していくことは、皆さんのためでもあります。自分たちの給料は自分たちで確保していきましょう。」と言ったとします。

経営的にはもっともな話なのですが、聞いている社員側は釈然としない感情にとらわれます。
「会社に利益が上がらなければ、給料は上げられないぞ」
という経営者の本音が透けて見えているからです。
これでは、ある意味で脅迫と同じです。

社員側の本音をとらえると
「賃金がそのままなのに、なぜ頑張らなければいけないんだ」
「会社の利益を確保するのは経営者の仕事。自分たちは仕事を頑張るだけ。頑張った結果として、より高い給料がほしい」です。

ここで考えなければいけないことは「単なる生産性向上」という方向づけでは「真の生産性向上」は実現できないということです。

会社側が成果を追うならば、社員側にもその活動により享受できるメリットを提示していかなければ、真の活動は進みません。
社員個々が頑張る理由づけにつながるよう、活動成果のメリットを提示しておくということが大事です。

■ 先々の生産性向上の方向性を考える

これからも労働人口の減少は進み、既存の業務への配置はほぼ不可能となっていきます。

しかしながら「業務はそのままで生産性は上げたい」「頑張って(マンパワーで)生産性を上げていきたい」というのには限界があります。

「先々の会社の業務の姿をどういう形にするか」
「生産性向上の最終到達点をどうするか」

という目的・方向性と到達点を考えていくことで答えが出てきます。

その先に、真の生産性向上・競争力確保の実現が果たせることでしょう。

株式会社シーアークス HP

No.205 労働力減少と業務改革

■ 日本の人口と労働力の現状 

世の中は、少子高齢化・労働人口減少の真っ只中です。

2015年調査時点の日本の総人口は 1億2,709万人、労働人口は 6,440万人(総人口の 50.6%)です。
※ 直近2019年の総人口 1億2,470万人(2018年比 43万人減)
10年連続で人口減少中。今後も続く。

2040年予測では、総人口 1億1,374万人、労働人口 5,245万人(総人口の 46.1%)、2015年の労働人口から1,195万人(18.5%減)も減少する見通しです。
2015年と2040年を比較すると「総人口減少数(1,335万人減) ≒ 労働人口減少数(1,195万人減)」であることから「労働力のみ消失する」ということが言えます。

総人口は、2048年には1億人を下回る予測です。
(2048年 総人口予測 9,931万人)

そうなった段階の労働事情を予想すると、
「必要な場所・仕事に必要な人を配置する」ことは、ほぼできなくなっていると思われます。
現在においても、働き手の不足、採用難で苦しむ会社が多くなっていますが、実数を見れば、それも当然の流れであることが分かります。なかなか厳しいですね。。。

■ 会社の業務の問題 

ここで、会社の仕事に目を向けていきます。

企業では「全社の固定費の内、管理部門・管理業務のウェイトをいかに下げるか」は、企業全体の収益性向上のためには必須テーマです。

それらの改善を進める上で焦点となるテーマは、

①業務改善・業務効率の向上
②少人化(配置)
③業務の継承

などです。

しかしながら、
もし、いまの業務のやり方・配置人数の前提のままで、少人化・業務改善をやろうものなら「業務サイクルそのものが破綻してしまう」懸念があります。

何故ならば、
①管理・処理ポイントの増加=業務処理の複雑化
②既にギリギリの人数で業務を回している
という問題があり、実は「改善の余力が無い」というのが現実であるからです。
特に、中小企業では、
・元々が少人数の運営でやっている
・効率化させるシステムに投資する資金が無い
という理由で「改善したくてもできない」というのが本音だと思います。

また、業務処理部門では「長期的に特定スタッフに依存→属人化=暗黙知化」しているケースがよく見られます。暗黙知のままだと、将来的な「業務の継承」にも停滞が予想されます。

その特定スタッフの業務処理の特徴・傾向をみると、
「固有の業務範囲 × 固有の処理方法 × 固有スキル × 固有パフォーマンス」で成り立っているケースが多く見られます。

簡単に言えば、
・その人のやり方が特徴的であるため、他の人には真似できない
(長い時間をかければ習得できる、かもしれない)
・その人が頑張ってやっているだけ。それでやっと成り立っている
(広範囲、長時間勤務、長期間従事)
・”それらが現実だ”との理由で、担当交代ができないでいる
(思い込みのケースもあり、実際はできるかもしれない)
ということです。

「固有の○○」であること自体が問題であり、同じやり方のまま、新規スタッフに交代しても求める結果を出せるか、は疑問です。

■ 業務改革と世の中の流れ

これらの予測・課題を踏まえると、働き手の減少が加速する中で
「これまでの前提条件を変えて人材活用していく」という発想で
先手で対策を打っていくことが求められます。

「これまでの前提条件(これまでの配置基準・業務基準)があり、同じような人員配置は難しい」
と結論づけるのではなく、
「前提条件を変えて(業務そのものの枠組み・方法論を変えて)人員配置する」ことがポイントです。

これを実行しようとすると【業務改革】が必要となります。

参考)業務改善と業務改革の違い
・業務改善:5%程度のコスト改善効果(業務を改善する)
・業務改革:20%以上のコスト改善効果(業務の前提を変える)

最近では、
・小売業のセルフレジ化(スーパーなど)
・GU・ユニクロの自動精算システム(ICタグ活用)
・ガストの24時間営業店舗の廃止+タブレットセルフオーダー
・施設サービスのICカード入店・清算
・コンビニの無人店舗運営の実験(ローソン)
など

顧客との対面対応が業務の基本だったモノが、だいぶ様変わりしてきています。
これらはすべて「少人化・配置→コスト・負荷低減」を前提とした【業務改革】です。
これまでの必要配置数の前提を変える取り組みです。

世の中に【業務改革】=「業務効率化(自動化)・少人化」の波は、確実にきていると感じます。

まだ小売・サービス業が中心ですが、これからは他・業種への導入の拡がりも予想されます。
(製造現場の自動化・少人化 など)

これからも確実に労働力は減少します。この現実からは逃れられません。

しかしながら、【業務改革】の発想で会社を変える、
これは今からでも始めておくべきです。

株式会社シーアークス HP
業務改善コンサルティング