No.188 誰のために仕事をやるか

誰しもその人なりの仕事への考え方がある。
考え方は人の仕事のやり方の特徴をつくる。

こんな事を考えていたら、ふと昔を思い出した。

いまから20年ほど前、販売の派遣アルバイトをしていた。
池袋・新宿・渋谷の家電量販店を中心に派遣されて携帯電話を売る仕事である。都内で20店以上は行った。

当時は携帯電話が普及し始めたころ。買う人も疎らだった。
販売員は「販売促進スタッフ」として各携帯電話キャリアから売場ごとに1~2名づつ派遣される。
キャリアは、ドコモ、IDO、J-PHONEの3社。
※J-PHONEは現在のソフトバンク、IDOはauである。
当時はドコモが販売数で他社を大きく引き離していた。

自分はJ-PHONEから派遣されていた。
後発参入のJ-PHONEは販売数・シェア獲得で苦戦していた。

売場に立っていると、お客から携帯電話の事を聞かれる。

最初はよく分からず、カタログを見ながら他の販売員のトークをマネて売っていた。

・お客の要望を聞いて、商品説明する。
・お客は理解・納得できたら買う。そうでなければ買わない。
これの繰り返しだった。

そうこうしていると、あるとき他キャリアの販売員から「渡辺さんはJ-PHONEからの派遣ですよね?」と確認するように聞かれた。

各販売員は自キャリアの携帯電話のみを売るために頑張る。
1日の販売ノルマがあり、成績が悪いとその売場からは外される。
売場は各キャリアのシェア獲得競争の場であり、各販売員がその代行者である。

自分はJ-PHONEも売るが、他キャリアの携帯電話も売っていた。

故に自分の行動をみて「あの人は何なのか?」と不思議に思っていたようである。

「客は買いたいモノだけを買うものだ」と思っていた。だから自分の説明で客が選択したモノを売っていた。
その選択をねじ曲げてでも、自キャリアを売ろうとはしなかった。

自キャリアの派遣担当者に見られたら、確実に怒られていただろう。

ただ続けていると、こんな感じになった。

・自分の説明しているところに客が集まってくる(多いときで10人くらい。)
・その日の説明で買わなかった客が後日買う(ほぼ100%)
・買った客が別の知り合いを連れてきてその人が買う。
・買ってもらっている側なのに、何故かお礼を言われる。
・客と仲良くなり、挨拶される。
・販売ノルマは普通にクリアし、販売本数の成績も安定。
・他キャリアの販売員に不思議がられなくなる。
・量販店からご指名をうけて店に行くようになる。

結果論だが、悪いことをしたとは思っていない。

自分における原点らしきモノを思い出しながら、あらためて考えてみた。

「誰のために仕事をやるか」である。

それを大きく分けると3つある。

1.自分のため 2.他者のため 3.客のため

「自分のため」に仕事ができる人はスゴい。
確固たる信念や目標がなければそんな風にはならない。

「他者のため」に仕事ができる人はその姿勢が素晴らしい。
「はたらく」は「はた(まわり)をらくにする」が語源らしいとも言われる。
ただ損する立場になることも厭わなければ、である。

「客のため」を考えると「客あっての商売」というのが現実である。
客がいなければ、モノが売れることはない。

すべて考え方として正解であり、成果もそれぞれである。
その人の思考の特徴・タイプに「~のために」のピントがあっていれば、実際の成果はでる。

例えば「客のため」を掲げ、ビジネスをやっている人は多い。
ただ本当の意味でやれている人は少ない。表面のみで本音は「自分のため」である。そう感じた瞬間に相手は引いていく。

「誰のために仕事をやるか」

たまたま原点を思い出せた。
現在の仕事にもつなげることとしよう。

株式会社シーアークスHP


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