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No.218 企業価値とは、良い会社・悪い会社、生き残る会社とは

日本国内の産業は、世界的にみてもレベルが高く成熟した状態にあります。
ただこの成熟は “停滞~終盤に近いのでは?”と思っています。市場サイクルでみると「成熟の後は衰退」です。

<市場影響度が大きいモノ(今後)>
総人口減少→総需要減少、消費者の購買行動(変化)、自動車産業の転換(ガソリン車→電気自動車)

これまでは、市場の変化を新たなチャンス・新しい市場が形成され、その繰り返しで日本の産業は発展してきました。
しかしながら、各産業分野の成熟が進むと、新たな機会創出も停滞していきます。
そこに追い打ちをかけるように「今回のコロナ影響は広範囲に渡り、各分野・各事業のバランスを崩壊させた」感じです。
そもそも、各市場と事業ごと潜在的な問題はあったのですが、コロナを機に「急速に顕在化」しました。

■ 企業価値とは?

こういう状況の中、「会社の価値とは?」をあらためて考える機会が増えました。

一般的な「企業価値の評価方法」には、以下の3つのアプローチがあります。


(1)コストアプローチ 企業を清算する場合の総額≒貸借対照表の資産合計
(2)インカムアプローチ 資産活用により付加価値を生む力=継続的に価値(付加価値)を生みだすプロセス
(3)マーケットアプローチ 株式市場における時価総額 ← 上場企業を参照・類推


実際の評価では、目的に沿って(1)~(3)を組み合わせていきます。

■ コンサルタントの視点 良い会社・悪い会社

市場で必要とされるのは「価値のある会社」だけです。
コンサルタントの判断は、企業価値をはかる上記アプローチに加え、実際の経営状態を診ます。
その切り口・ポイントは「経営者、事業力、財務力、経営システム、組織力・人材力」です。
更に簡単に言うと「会社の外部・内部を診断 → 良い会社 or 悪い会社 を判断」しています。
「良い会社」と「悪い会社」には明確な特徴があります。また、この先「悪くなっていく会社」にはその兆候があります。
下記は、長年のコンサルタント経験から得た「良い会社・悪い会社」の傾向的な特徴を集約・まとめたモノです。


〔良い会社〕

1.自己変革への認識・行動力がある
「自己変革の認識」、それを実現するための「行動力」を備え、環境変化への対応(=環境適応)を進めることができる。

2.中・長期ビジョンによる経営を行っている
事業を継続・発展させるビジョンを示し、社員のモラルを高めることができている。

3.顧客思考と顧客目線を持っている
顧客思考・顧客目線の対応を重視している。現場視点で市場変化・ニーズ変化を捉えている。

4.人を活かす経営を行っている
成長の継続を支える基礎 =人を活かす経営 を行っている。そのための組織・人材基盤を整えている。

5.社会貢献を強く意識している
社会貢献を強く意識することで、顧客をより理解し、社員のモラルを上げ、
企業の存在意義(=わが社はなぜ存在しているのか、その目的)が高まっていく。
それを、事業(企業)の継続のための前提条件としている。


〔悪い会社〕

1.自社のやり方に対する過信・思い込みがある
「わが社のやり方に問題は無い」という根拠の無い過信、現実を直視しない、事実の認識不足 など、
変化することを嫌い、同じ事をやり続ける。(実際は客が不満足であっても)自社のやり方を通している。
※「顧客思考」「顧客第一」を掲げているが、その実態は「自社思考」「自社第一」である会社は意外に多い。

2.意思決定システムが形骸化している(=機能していない)
「同じことの繰り返し」「前例主義」で意思決定機能が麻痺し、正しい判断・決断ができなくなっている。

3.環境変化への気づきが無く、すべてが後手対応になっている
「予測される変化の認識」「現状の問題や課題の認識」が不十分。
問題が起こってから対応など、すべてのアクションが後手になる(もしくは、対応できずにいる)


事業継続できる可能性が高いのは「良くなろうと、正しい努力をしている会社」と考えます。

■ コンサルタントの役割

コンサルタントの役割は、

(1)企業価値が不明確→「企業価値の再定義、方向づけ、取組み課題の設定」

(2)企業価値を高める「経営サポート+具体化サポート」

特に「企業価値の再定義」は、環境変化(市場構造の激変)において、多くの会社に求められることと感じています。
「市場の需要=企業価値」それを一致させることができている会社は、この大きな変化も乗り越え、今後も生き残ると思います。

■ 株式会社シーアークス

No.210 企業規模とあるべき姿

コンサルとして20年ほど活動し、様々な業種・業態の会社の仕事をしました。
規模では、主には中小企業ですが、大企業・中堅企業も合わせて、現在までに100社以上の会社を見てきています。その経験則から、会社の傾向的な特徴は捉えることができていると思います。
業種・業態の違いはもちろんですが、企業規模でも会社の様子はだいぶ異なります。

一般的な認識では、


大企業・中堅企業は
● 人材の質・量ともに揃っている
● 業務がシステム化・効率化されている
● 仕事のほとんどが形式化されており、誰でも一定の成果が出せる
● 様々な改善・効率化を進めるための予算をかけられる


中小企業は
● 人材の質・量で劣る
● 業務のシステム化・効率化が遅れている
● 仕事の多くが暗黙知で、個人頼み・マンパワーに委ねることが多い
● 改善・効率化はしたいが予算が十分ではない


だと思います。

確率的には”一般的な認識”であることが多いですが、
中小企業でも優秀な人材が揃っていたり、システム化が上手くできている会社もあります。
大企業・中堅企業でも、人材層にバラツキがあり、業務の多くに問題を抱えている会社もあります。

コンサル経験から結論づけていることがあります。
それは、会社における “あるべき姿” の考え方が、その姿に現れる ということです。

”会社において、何を大事にしていて、どんな価値提供を持って、どんな成果を目指すのか”

その考え方で会社の様子は大きく変わります。
顧客からの見られ方も変わります。
業績の捉え方・つくり方も変わります。
社員の働き方も変わります。
プロセスが変われば、最終的な成果も変わります。

企業規模の大小の差があれば、そもそもの影響力・効率性の違いがあり、最終的な結果にも違いがでるのは間違いありません。
ただ、大企業・中堅企業も最初は中小企業だったはずです。
規模拡大・成長発展できたのは、 ”どんな会社になりたいか” が明確にあったためであり、企業規模はその結果 だと考えています。


現在はコロナ渦です。世の中が大きく変わり、経営環境も激変の状況です。

コロナが契機となり、これまでに各企業が積み上げてきたモノが崩れ去り、
”会社の在り方そのものがリセットされたような状態” だと捉えています。
大規模・中堅規模であった企業も、サイズダウンを余儀なくされる可能性もあります。

今後の会社の生存のためには、真の価値、業績のつくり方、組織・人材 など、あらためて 会社の在り方を一から考えていく必要がある と考えています。

今一度、原点に立ち返り、会社の あるべき姿 を定めていくことをお勧めします。


▶ あるべき姿の再考

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